闘いつづける経営者たち

「高岡 伸夫」株式会社タカショー(第1回)

01.ガーデニング業界のリーディングカンパニー

安らぎや感動を与えられる存在に

タカショーの最高品位ブランドと位置づける人工竹「エバーバンブー」。京都の職人の手加工による、細やかな色彩の変化や深い彫りによる陰影や立体感が特徴。特殊強化ASA樹脂を使い、雨や日光に対する耐久性もクリアした。

本物の竹と見間違うような質感と、特殊強化アクリル酸メチル(ASA)樹脂を使うことで耐久性を両立した竹垣「エバーバンブー」。パネルで仕切り、庭空間を演出する「エバースクリーン」-。人工和風竹フェンスを主力に、こうしたユニークなガーデニング素材を世界に発信している企業の本社が、和歌山県北西部の海南市にある。

タカショーは「ハート&アート」をテーマに掲げ、ガーデン用品、エクステリア用品など約1万8000点の企画販売を手がける。このテーマには、創業者で現社長である高岡伸夫の「企業はテクノロジーと情緒のどちらかに強みを持つが、当社は情緒面に注力し、安らぎや感動を与えられる存在になりたい」という思いがこもっている。

人と自然をつなぐ場所として庭をとらえ、環境を切り口に「エコガーデン」を掲げる。ビオトープの考えを取り入れて庭に噴水や滝、池などを組み込んだ「ウォーターガーデン」、布地で日陰を作る「シェードガーデン」、再生原料を使い木のぬくもりと耐久性を両立した「エバーエコウッド」などの商品を展開している。「経済はある程度自然環境を犠牲にして発展する。しかしガーデニングは産業として自然を作ることができる数少ない業界だ」と高岡は語る。

5番目の部屋

情報発信基地として、同社のガーデン・エクステリア商品や植物を組み合わせた庭空間の展示場を全国に持つ。現代風にアレンジした和風空間、ひさしを設けたポーチガーデンなど同社の掲げる「風・光・水・緑・心」のコンセプトを感じられる造りとなっている。(写真は本社の屋外展示場)

同社では商品戦略として庭をリビング、ダイニング、キッチン、ベッドルームと並ぶ「5番目の部屋」と位置づけ、ベンチやテーブルなどの家具も提案する。

グループに22社を有し、海外展開も積極的に進める。99年に設立したタカショーヨーロッパ(ドイツ)は3000近くの小売店と取引している。98年にガーデニング業界唯一の上場を果たし、全国約650の専門施工店を「リフォームガーデンクラブ」としてネットワーク化。08年には中小企業庁の「元気なモノづくり中小企業300社」に選ばれた。

80年の設立当初は2800万円だった売り上げは、04年度に100億円を超えた。同社の成長を支えるのが高岡の「ガーデニング業界を近代化し、市場を自ら作っていきたい」との強い思いだ。

プロフィール

高岡 伸夫 (たかおか のぶお)

1953(昭和28)年3月3日、和歌山県生まれ。75年松本金物入社、77年高岡正一商店入社、80年タカショー設立、専務就任。89年社長。

企業データ

企業名
株式会社タカショー
Webサイト
設立
1980年8月21日
資本金
5億7056万円
従業員数
399人(うち正社員275人)(2010年5月現在)
所在地
〒642-0017 和歌山県海南市南赤坂20-1
事業内容
人工和風竹フェンスを主力とした庭園資材の企画・製造・販売
売上高
127億5600万円(2010年1月期)

掲載日:2010年10月1日