キリンフリーは発売後の消費者調査でも好意的に受けとめられた。全日本交通安全協会、日本フードサービス協会、日本自動車連盟(JAF)が推進する「ハンドルキーパー運動」(飲食店などからの帰路でクルマを運転するため、あらかじめ飲酒しない人を決めて飲酒運転事故を防止する運動)を支援、飲酒運転防止に対する社会貢献の企業姿勢が評価され、企業イメージの向上に効果をもたらした。
また、消費者からの反響も大きかった。
「子育て中で、子供が急に熱を出して医者に急がなければいけないようなことがあっても、安心して運転できる」
キリンフリーのコンセプトが確かに消費者に届いたことを明かす声だ。
そればかりではない。
「猛暑の朝、洗濯を干し、掃除機をかけて家事で汗だくになりビールが飲みたくなったとき、キリンフリーなら安心して飲める」
「テニスなどのスポーツの休憩時にも飲める」
「残業が決まって夕ご飯を買いに行くとき同時にキリンフリーも買う」
「飲み会の雰囲気をこわさずに飲める」
予想もしなかった反響だった。「飲酒運転根絶への寄与=社会貢献」という商品コンセプトの枠を超え、キリンフリーは消費者のさまざまな生活シーンへ一気に浸透していった。
「発売後5年くらい経ってからそうなればいいなと思っていたことが、予想以上に早くきました。ヒット商品ってこういうことなんだ、と体感しました」と梶原さん。
商品コンセプトの枠を超えて支持を獲得している。ちょっと意地の悪い質問をしてみたくなった。
「キリンフリーが売れすぎて、ビール市場を食っているのではないですか?」
「そこまではわかりません。でも、アルコールを飲まない人と一緒のとき、これまでは相手に遠慮して飲む量を控えていた人が、相手がキリンフリーを飲んでいればあまり気を遣わず、自分も安心してもう一杯飲もう、なんてことにもなりますからね。そういう意味からも、キリンフリーはあくまでも新しい市場を創造したと考えています」
梶原さんはさらりと切り返した。