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「三崎恵水産」三崎マグロを世界ブランドへ

この記事の内容

  • 神奈川県三浦三崎漁港で新鮮なマグロ、鮮魚を飲食店に提供
  • 海外で強調する「マグロとツナの違い」
  • シンガポール中心に7カ国へ輸出。北米、中東進出を検討中
「マグロはマイナス60℃で保存する」これを海外で伝えることが必要という石橋常務

神奈川県南東部に位置する三浦三崎港は、世界中からマグロが集まる遠洋漁業の基地。ここで水揚げされたマグロをさばく問屋は100社以上といわれ、休日には新鮮なマグロに魅かれた観光客で賑わう。

この一角でマグロや鮮魚など水産物の卸として、1986年に三崎恵水産が設立され、高品質な三崎マグロを飲食店などに向け提供してきた。高級品志向の消費者ニーズにも対応し、通信販売による個人向けも手掛けている。

日本人が好むマグロは、海外での日本食ブームもあって世界各地で需要が増え続けている。三崎恵水産は、この流れをキャッチアップするかのように積極的な海外展開を3年前に開始した。

「昨年度の海外売上高は2億円を超え順調に拡大している。費用対効果をみると国内向けには及ばないが、将来性は高い」と石橋匡光常務は強調する。海外展開の企画立案者であり、単身で各国を訪問し市場を切り開いてきた石橋常務には、苦労して体得した海外ビジネスでの勝算があるようだ。

「海外では、マグロとツナは別物であることを訴えている。捕獲から流通まで完璧といえる状態で管理するのがマグロであり、それ以外はツナとしか表現できない」と語る。海外で目にするのは、ツナばかり。管理の仕方も解凍法も知らず、黒くなったマグロを平気で扱う光景を見てきたからだ。

2012年、毎年シンガポールで開催される日本食の展示会を視察。これを機に海外展開を考え始めるが、空前の円高で輸出は不利な時期。翌年、テストマーケティングを兼ね同展に出て好感触を得る。ベトナムなど東南アジア各国との商談会にも積極的に出向き、知り合った現地企業へ、マグロの部位、保存法などを丁寧に説明していったという。

その後の円安基調で話が進み、パートナーに日本でのマグロ加工の現場や保存倉庫など見てもらう。「日本の技術を教えなくては本当の旨いマグロは普及しない。真剣だった。だからこそパートナーとの信頼関係をつくることができ海外展開が可能になった」と石橋常務は話す。

2013年11月、シンガポールへ10キログラムのマグロを初出荷。「海外向けだからといって特別なことをする必要はない。日本で売れないものは海外でも売れない。むしろマグロは日本と同じものを欲しがっている」とも。とはいえ、当初は通関手続きで書類不備や、手数料のミスなどの失敗もあった。商社を経由して輸出すれば、このような苦労は少ないが、それでは海外ノウハウが蓄積できないばかりか、日本のマグロ文化を伝えることもできない。海外向けは自社輸出に拘るという。

現在の取引先は、韓国、台湾、香港、シンガポール、ベトナム、マレーシア、フィリピンの7カ国(地域)。今後は、ツナばかりの米国や中東諸国へも進出していく方針だ。

海外ビジネスの本格化と同時期に、地域資源活用の認定や中小機構の海外ビジネス戦略推進支援事業などを受け、国内外での事業拡大に向けた準備を進めている。また、米国の格付け機関であるスタンダード&プアーズと日本リスク・データ・バンクによる中堅・中小企業向け信用格付けで、上位となるシングルaを獲得し、企業信用力の客観評価も得ている。

国ごとに異なるルールを把握し、問題があっても一つずつクリアしていく根気。これをベースとして、物流、ITは既存のシステムを活用する柔軟性と何よりも各国パートナーとの円滑なコミュニケーションを図ることが海外展開には不可欠。「世界各国で三崎マグロをブランドにしていく」ことが海外展開の目標の一つだという。

企業データ

企業名
株式会社三崎恵水産
Webサイト
設立
1986(昭和61)年6月
資本金
1,000万円
従業員数
64人(含パート)
代表者
石橋幸男氏
所在地
神奈川県三浦市三崎町城ケ島658-142
Tel
046-881-7286
事業内容
マグロ、鮮魚、水産物の加工・販売