闘いつづける経営者たち

「澁谷梨絵」株式会社シブヤ(第4回)

04.おしゃれなコメギフトでサービスを広げる

現在、シブヤの年商は約6億円。そのうち伊勢丹松戸店、松屋銀座店を中心とする小売り部門が1億円強、弁当の和デリが約3000万円で残りの4億円強を卸売りと食品メーカー向け業務用販売が占める。

「少しでも多くの人にもっとお米を食べてもらいたい」との思いからさまざまな販売戦略を実行する

店頭販売で扱うコメは30種ほど。このうち約20種を店頭に常備し、残り10種は季節のお奨め品としている。新米の季節に特別美味しいコメもあり、そういった品種が季節のお奨め品になる。また、健康の維持管理のためにも、もっと食べてほしいという願いから、雑穀米も販売している。

「百貨店の店頭販売は、量、金額ともにもっと増やしたいと思っています。店頭販売が増えると、生産者との取引量が増えます。取引量が増えれば、生産者も作付け量を増やせます。私どもがもっと頑張って取扱量を増やせれば、それが生産者にも収入として還元されるわけです。TPPによって農業が激変を迫られている今、私どもにとってもその果たす役割は大きいと考えています」

コメ消費の漸減傾向にはなかなか歯止めがかからないが、和食がユネスコの世界文化遺産に登録された今、「美味しいご飯の味を忘れないで、少しでも多くの人にもっとお米を食べてもらいたい」と渋谷梨絵社長は願いを込める。

女性ならではの感性でギフトを開発

少しでもコメ消費を伸ばす狙いから、ネット販売にも力が入っている。歳暮、中元にブランド米を贈ることも珍しくない時代だが、その場合に多いのはビニール袋入りの5kgの商品だ。が、梨絵社長は、1kg入り3種のコメをおしゃれなパッケージに入れたり、2~3合ずつをふろしき包みにしたりと女性ならではの感性でひと工夫を凝らしている。

「最近は、和食好きとか糖尿気味の人とか、お客さまから好みのリクエストを頂き、その方の希望にかなったお米をチョイスしたり、あるいは雑穀もそのお客さまの体調に合わせてブレンドするなど、世界で1つだけのお米のギフトサービスも始めています」

女性ならではの感性から商品化したおしゃれなパッケージのお米ギフト

店舗販売については、百貨店への新規出店でもその機会を探っている。百貨店にテナント出店する小売店にとってその経費は重く、そのため退店するコメ店も少なくない。梨絵社長も商圏環境や条件などをじっくり検討しながら出店計画を進める方針だ。

さらに店舗販売では大きな夢も抱いている。
 「いずれは銀座に自分のお店を出したいですね。お米に関していろいろとおもしろいことがやれるお店を」

5つ星お米マイスターの社長が見据える将来にはどんなコメビジネスが展開されるのか。その姿を楽しみに待っていたい。

プロフィール

澁谷 梨絵 (しぶや りえ)

1977年生まれ。関西学院大学を卒業後、2001年に大手IT企業に入社。SEとしての勤務を経て2002年に家業のコメ・雑穀卸・小売商に従事し、2006年にシブヤの代表取締役に就任。現在、伊勢丹松戸店、松屋銀座店に出店し、弁当の製造・販売「和デリ」の店舗も経営する。
 お米の3大資格である「5つ星お米マイスター」「雑穀エキスパート」「ごはんソムリエ」を取得する堅実な一方、大の“お笑い”好きで、学生時代にはお笑いイベントの手伝いや楽屋掃除も経験するほどお笑い芸の大ファンだ。

企業データ

企業名
株式会社シブヤ
Webサイト
資本金
1000万円
所在地
千葉県松戸市小金原4-36-5
Tel
047-341-1211
事業内容
コメ・雑穀の卸・小売、弁当の製造・販売
売上高
6億円

掲載日:2014年2月20日