ITツール活用事例

売れる工夫満載の独自ネットショップ構築ツール「BASE」

インターネットを介したオンライン通信販売(EC)は、すぐに欲しい商品を手に入れられることから、今やほとんどの人が日常的に利用するものになりました。売り出したい商品をもつ側にとっても、ネットモールと呼ばれるECサイトの仕組みを活用して、実店舗を構えることなく販売できる環境が整ってきています。大手ECサイトのなかには、商品を預けて情報を登録するだけで、最も手間のかかる決済と商品の発送を請け負ってくれるところもあります。

とはいえ、大手のネットモールでは、多くの場合販売ページが画一的なデザインに固定されがち。特にオリジナル商品を扱う人にとっては、その自由度の低さが商品アピールにつなげにくいのがネックとなります。ブランディングの面でも、独自にECサイトを立ち上げるのが最も効果的ですが、その場合はサーバー構築やページデザインが必要となるだけでなく、代金支払いのための決済手段を用意するのが課題です。

独自性の高いネットショップを、もっと簡単に始めることはできないか。そんなニーズに応えるべく開発されたネットショップ作成サービスが「BASE」です。商品の画像と情報を並べて販売するだけでなく、動画配信を組み合わせた新しい販売方法ができることにも注目が集まっています。一体どのようなサービスで、どういった使い方ができるのか、運営元のBASE社に話を伺いました。

BASE株式会社 COO(最高執行責任者)
山村兼司さん

数分でネットショップが完成。多数の決済手段も用意

「BASE」ならリスクなく始められる、と語るBASE COOの山村さん

「50代の母親でも簡単に使えるネットショップを」という創業者の思いから、2012年に立ち上がった「BASE」。2018年2月時点で、すでに45万ものネットショップが「BASE」を利用しています。サービスの一番の特徴について同社COOの山村さんは、「シンプルで簡単。初期費用も月額費用もかからないので、リスクなく始められること」と言います。ネットショップ運営にあたってかかる費用は、決済手数料となる「売上の3.6%+40円+サービス利用料」のみです。

実際に試してみると、いくつかの情報を入力すれば会員登録があっさり完了し、あとは取り扱う商品の写真と情報を登録するだけ。極めて少ない手間で登録を終え、場合によっては数分という短時間でネットショップが完成します。Webサイトのデザインは多彩なテンプレートから選ぶことができ、Web言語であるHTMLを理解している必要は全くありません。

多彩なデザインテンプレートの中から選ぶだけでサイトデザインを変えられる

商品登録やページデザイン設定の他には、オーダー情報を管理する「注文管理」、売上を随時確認できる「お金管理」、アクセス数を計測・分析する「データ」といった機能があり、ネットショップの運営に必要な機能がひと通りそろっています。用意されている決済手段も豊富で、クレジットカード、銀行振込、コンビニ決済、代金引換、後払いなどが利用でき、携帯電話料金にまとめて支払えるキャリア決済も、大手通信事業者3社のサービスに対応しています。

基本機能以外は「Apps」で追加。こだわりのネットショップを作り込める

山村さんによると、「ご年輩の方でも、どんな商品を扱うショップさんでも使えるよう、複雑な機能をあえて排除して、最初は必要最低限の機能しかもたせていません」とのこと。しかし、より独自性の高いネットショップを運営したい人は、「Apps」機能でどんどん機能拡張していくことも可能です。通常、WebサイトURLは「BASE」がもつ決まったドメイン配下での運営となりますが、独自ドメインへの変更もOK。商品のユーザーレビュー機能を追加したり、メールマガジンやクーポンを配信したりすることもできます。モノだけでなく、音楽・映像データのようなデジタルコンテンツの販売までカバーします。

「始められる」だけでなく「売れるようにする」ところまでサポート

BASE本社の受付フロアには、ネットショップで実際に販売されている商品が多数展示されている

「BASE」の魅力は、ネットショップを簡単に始められ、多様な決済方法に対応し、機能拡張による高い柔軟性を備えていることだけではありません。一番の魅力と言えるのが、公式スマートフォンアプリによるネットモールに自動的に参加できることです。

いくら簡単に独自のネットショップを作れるとしても、ただ始めたというだけでは不十分です。その存在をユーザーに知ってもらえない限り売上には結びつきません。認知度を上げるため、サーチエンジンで表示されるようにするSEO対策や、ソーシャルネットワークで広めてもらうための活動など、地道で手間のかかる作業が必要です。

「BASE」では、「BASE」を利用しているネットショップの商品をアプリ上で紹介することで、こうしたネットショップ側で必要になる販促活動をある意味代行してくれます。ネットモールとして運営している大手ECサイトも、参加しているネットショップの商品を公式サイトなどで露出するようになっていますが、「BASE」もそれに似た仕組みを用意していると言えます。独自性のあるネットショップ運営をしながら、アプリのモールにも参加できる、いいとこ取りのECプラットフォームが「BASE」というわけです。

アプリを通じてクーポンやセールの情報をユーザーにプッシュ通知する販促機能も無料で提供しています。ユーザーにフォローしてもらうことで効率的に情報を伝えられるソーシャル機能もあって、ユーザーと直接的にコミュニケーションできるのもメリットでしょう。「BASEはネットショップを簡単に始められるだけではなく、実際に"売れる"ようにするところまで支援しているのが特徴なんです」と山村さんは話します。

野菜の販売に「BASE」を活用している農家も

「BASE」を利用するネットショップの種類はさまざま。伝統工芸品やアパレルなどのオリジナル商品を販売するところもあれば、ユニークな商品を探してきて取り扱うセレクトショップもあります。生産している野菜を農家自身が販売しているショップもあり、それこそ子供からおじいちゃん・おばあちゃんまで、運営する人の業種、年齢は幅広い層に及んでいます。

業者向けに卸売りしていたところが個人向けのネットショップを始め、今では百貨店に商品を納入するようになった企業もあれば、実店舗の後にネットショップを始めるという従来の流れとは逆に、ネットショップから始めて実店舗を開くようになった例もあるとのこと。「BASE」を活用することで、これまでにない形での成功例が増えています。

新しい取り組みや支援を通じて「一緒に成長したい」

「BASE」では新たな取り組みも続々と始めています。単純に商品の情報を並べるのではなく、ライブ動画を配信してそこで商品を紹介する「BASEライブ」というサービスがその1つ。販売する側がスマートフォンを使って動画配信することで、ユーザーに向けて商品の詳細や使い勝手を生の声で届けることができます。コメント機能で視聴者とコミュニケーションをとることもでき、山村さんいわく「販売者の顔が見えることで、ユーザーの信頼を得やすくなるのも利点」とのこと。ライブ配信を通じてわずか15分で数十万円を売り上げたショップもあったそうです。

「月額費用のかからないノーリスクのサービスなので、どんな人でも利用しやすいと思います」と山村さん。ネットショップの作成に時間をかける必要がないため、「クリエイターのような物作りに集中したい人にとっても都合がいいのでは」と、これからネットショップを始めたい人に向けてアピールします。

いきなり本格的にネットショップを始めるのは難しそう、あるいは始めたけれどうまくいかない、という人を対象に、「BASE」ではセミナーも開催しています。集客のコツ、SNSの活用方法、商品写真の撮り方などを基本的なノウハウを解説するもので、東京以外に大阪や名古屋などでも受講が可能です。セミナーでヒントを得て、取扱商品を増やしたり、SNSなどでの発信頻度を高めたりして、売上アップにつなげているネットショップも多いようです。

山村さんは「ネットショップは、ただ始めるだけで売れる、と思われがちですが、そうではありません。売上を上げるには自ら積極的に発信することが大事です」と忠告しつつ、「もしうまくいかなくても私たちがサポートします」とのこと。手厚いフォローがあることも「BASE」の特徴だと言います。

今後同社は、ネットショップの実店舗展開や、既存店舗のネットショップ化も強化する方針です。「支援の幅を広げて、BASEと一緒に成長する店を増やしていきたい」と山村さん。多くのネットショップを多方面から支援することで、互いに成長、拡大していきたいという熱い希望を口にしました。

企業データ

企業名
BASE株式会社
Webサイト

2012年12月設立。ネットショップを簡単に始められるサービス「BASE」と、「BASE」で作成されたネットショップを集めて商品を紹介するスマートフォン向けショッピングアプリを提供。その他、導入のハードルが高いクレジットカードなどを用いた決済手段を、容易にWebサイトやネットショップに導入できるオンライン決済サービス「PAY.JP」、購入者のスマートフォンからQRコードを読み取るだけで簡単に支払いができる「PAY ID」も展開する。