起業の先人に学ぶ(2020年版)

貸スペース検索・予約サイトの運営【軒先株式会社】

2020年 8月 28日

西浦 明子 氏
西浦 明子 氏

1.ビジネスの特徴

●誰に

「自分のお店を持ちたい」「お教室を開きたい」「1日だけ駐車場を借りたい」方に。
使っていない僅かなスペースがある不動産オーナーに。

●何を

貸したい方と借りたい方のマッチングサービスである、空きスペースシェアリングのマーケットプレイス『軒先ビジネス』『軒先パーキング』『軒先シェアレストラン-magari』を。

●どのように

店舗・商業施設・駐車場・飲食店などのデッドスペース・アイドルタイムのあるスペースを貸主が『軒先ビジネス』『軒先パーキング』に登録、利用者が検索し予約をする仕組みで提供する。

空きスペースのマッチングサービスである検索・予約サイト『軒先ビジネス』『軒先パーキング』『軒先シェアレストラン-magari』を手掛けている。同サイトでは不動産業者が扱わない小規模、短期間の貸しスペース情報を掲載しており、貸主は僅かなスペースでも収入が得られ、初期投資も不要。

また、利用者は今まで長期で賃貸契約を締結しないとお店を出店できなかったが、短期での利用が可能となり、「ちょっとしたお店を持ちたい」などの場合にはコストを抑えた出店ができる。これまで取り扱われてこなかった空間情報のマッチングを提供し、貸主・利用者双方にとってメリットとなる点が特徴。

2.起業のきっかけ

物件例
物件例

もともと起業をするつもりはなく、出産により当時勤めていた会社を退社後、子育てをしながら海外から雑貨を輸入して、趣味の延長線でちょっとしたビジネスをしようと思った。

当時、その雑貨が日本で一般的でない商品だったのでテスト販売をしようとしたが、なかなか短期でお店を開けるところがなく、長期で店舗を出店するか、またはフリーマーケットでテスト販売するしか選択肢がなかった。そこで、自身の実体験を踏まえて、もう少し簡単に「自分のお店を持つ」ことが実現できたらと思い、このビジネスを起業した。

3.起業への道のり

最初の1年間は個人事業主として活動し、物件を検索できる簡単なウェブサイト(のちの『軒先ビジネス』)を制作したが、サイトの物件登録数はほとんど無い状況だった。状況が変わったのはリーマンショック後。不動産業界にも不況の波が訪れ、空き物件が大量に発生したことで、一般個人からのみならず、不動産業者からも物件情報の登録依頼が大幅に増加した。それに比例する形で借主の登録数も増加したことから、2009年4月に法人化した。

創業当時はカーシェアリングなどのシェアリングエコノミービジネスが世の中にあまり認知されておらず一般的ではなかったため、ビジネスモデルを理解いただくのに苦労した。

4.最初のお客さんを獲得するまで

貸主に対しては住んでいる近くの商店街などで「空いているスペースを登録させて下さい」といったいわゆる「ドアノック営業」をして、自社のビジネスについて説明してまわり、物件を登録してもらう活動を行っていった。同時に利用者の登録数も増加させなければならないので、駅・商業施設などの催事会場でお店を出している方へチラシを配布し、サービス内容と自社のウェブサイトを紹介し、サービスの知名度向上を図った。

リスティング広告などのウェブ媒体での集客方法が確立するまでは、さまざまな地域において僅かなスペースを借りたい人、貸したい人へ自ら出向いて対面営業を行い、サービスの認知と登録数の増加を進めていった。そうした活動の積み重ねによるリピーターの増加に加え、サービスがメディアでも取り上げられるようになり順調に登録者数が拡大、現在の展開へと繋がっている。

5.今後の展開

「自分のお店を持ちたい」「お教室を開きたい」などのリアル店舗の起業支援サービスとなることを目指しており、起業をする方のリスクをできる限り少なくしたい。

一方で街の隙間をうまく活用し店舗が増えれば、街の魅力があがり、地域活性化につながる。その一環として2020年1月より一般財団法人武蔵野市開発公社と共同で「吉祥寺をもっと楽しくする!吉祥寺ポップアップストアポータル」の共同運営を開始しており、これをモデルとして全国の町の魅力の引き出し、地域活性化を手助けする役目ができればと考えている。

※掲載している内容は、4月7日に発令された緊急事態宣言前に取材したものです。

企業データ

企業名
軒先株式会社
代表者
西浦 明子 氏
所在地
東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル3F
Tel
03-6869-3111
事業内容
貸スペース検索・予約サイトの運営