若者たちの価値観の変化にどう対応していくべきなのか、時代の変化、人材確保と人材育成にどう取り組んでいくのか。野村が現場に女性技能者を積極的に受け入れたこと、あるいは毎月1回、就業時間中、社員の誕生日会を開催してコミュニケーションを図ることに腐心しているのも、人を重視する野村らしい経営マネジメントの一端と言えそうだ。
その野村も今年で満68歳。長期経営戦略の一環として後継社長の育成も、中小企業にとっては大きな課題でもある。南武は1996年2月、タイに進出した。日本向け標準部品を製造する目的で設立した工場ではあるが、現在では完成品(製品)として、同社の東南アジア市場全域をカバーする海外拠点に成長した。タイ現地法人を切り盛りするのが、野村の次男の伯英。若干34歳の若さだが、一級建築士としてタイ工場を自ら設計した実績もある。
社員48人のうち日本人は社長の伯英を含めわずか2名。野村は経営マネジメントに関する伯英の教育訓練の場として、タイを選んだ節がある。伯英はタイへ赴任する以前、米国の日系自動車メーカーへ単身で定期訪問を繰り返し、日系自動車メーカーの要人と太い絆を作り上げた。取引先の一つU.S.STEEL社の下請"FIVE STAR社"との関係構築にも成功。いまでは総代理店並みのメインテナンス工場として南武の北米事業の一翼を担っている。
南武の次世代をにらみ、グローバル時代に柔軟に対応できる新たな経営資質を確保する。野村の人材育成にかけた思いは、伯英へのバトンタッチによって完結するのかもしれない。(敬称略)