「下請からの脱却」は中小企業にとっての悲願であり、かつ願望である。だが、白木の部品メーカーとしての考え方は趣を異にする。「大切なことは、部品は自分の会社の大切な商品だという認識」と白木は、部品メーカーとしてのプライドを強調する。事実、シコー技研の製品には仮に顕微鏡でなければ見えないような小さな部品であっても、一つひとつに社名が刻まれている。
ただ、同社の製品は部品には違いないが、いわゆる機能部品といわれるもので、高い付加価値を誇る。従って開発方法もユーザーの要請を受けて開発するのではなく、提案営業が基本。「私はお客さんから頼まれたものを作ったことは一度もありません。『こういうケータイを作ったらどうですか』と、ユーザーに提案した製品ばかりです」というのが白木の技術者魂であり、ビジネスの考え方なのである。
最近、社会的な問題となっている欠陥商品についても、白木には一過言ある。「メーカーの間で『お客さんの意見を良く聞いて』といわれますが、私の場合はまず自分の意見を聞くことが大切だと思っています。自分が欲しいものか、自分が使えるかどうか、使いたいかどうかを確認するわけです。顧客情報というのはあくまで中間情報であって、途中の顧客情報だけでモノを作ると欠陥商品が生まれやすい。大事なのは最後のお客さんである自分自身です」と白木は言い切る。
白木のモノづくりへのこだわりは、超小型モーターを作る専用機を開発し製作していることだ。このことについて白木は「他で作っていないから自分で作るしかない」とあっさり答えるが、このことは相当に高いレベルの技術力があってのモノづくりでもあることを物語っている。