業種別開業ガイド

ボックスショップ

トレンド

ボックスショップは、レンタルボックスとも呼ばれ、店内に設置したボックスタイプのスペースを貸し出して、小物などの販売を代行する店舗である。

(1)販売だけでないさまざまな用途でも活躍

ボックスショップの登場当初は、スペースを貸し出して展示商品の販売代行をする店舗が多かった。その後、ボックスの使い方は多様になり、自身の作品を展示するアーティストによる利用も増えている。

(2)お小遣い感覚で自身の作品を売りたい女性にも人気

ボックスショップへの来店客は女性が多く、小さなスペースでも販売可能な手芸作品やハンドメイドのアクセサリーなどが好まれている。ボックス利用者としては、趣味の延長線上で気軽に出品できる点や、ボックスの中を自分の店のようにこだわって装飾できる点が喜ばれている一方、来店客としては、一点物など数が少ない商品を購入できる点や、実際に手にとって見ることができる点が好まれているようである。

(3)趣味の延長感覚で副業的な開業も可能

ボックスショップを経営しようとする人は、自身も手芸やハンドメイド・アクセサリーの楽しさを知っている人が多いようである。もちろん、経営者自身が作った作品も自店のボックスで販売することができる。ものづくりに関心があり、センスに優れた人が多いため、ボックスのデコレーションも工夫がされている。そのセンスの良さが評判となり、顧客の吸引力となっているようだ。
立地としては、東京で言えば、表参道や渋谷、新宿、秋葉原など、若者が集まる場所が多い。

ボックスショップの特徴

  • ボックスショップでは、利用者は、月額数千円~1万円程度の料金で、「自分のスペース(自身のセンスにこだわり、自身のコンセプトに合ったディスプレイが実現できる場)」を持つことができ、作品やコレクションの展示・販売ができる。ボックスショップの収益は、このボックスレンタル料金と、売上に応じた手数料からなる。手数料は売上の10%~20%程度が一般的である。
  • ボックスのタイプは、縦横奥行きが30cm~40cm程度の立方体の箱タイプが多いが、奥行きが浅くアクセサリーなどを壁掛けできるタイプや、視認性の良いガラスケースタイプなどさまざまであり、デザインも各社工夫を凝らしている。
  • 店内のどのボックスにて作品を展示するかが売上を左右することもある。そのため、ボックスの高さ、位置、視認性の良さを考慮に入れて、ボックスレンタル料金を設定しているところが多い。

ボックスショップ業態 開業タイプ

あらかじめコンセプトを定め、それに沿って店舗タイプを選定することが重要となる。

(1)コンセプト特化型

陳列する品物の種類を絞り、統一したコンセプトで商品を展示販売するタイプである。立地なども考慮し、ターゲットの顧客層に合ったコンセプトを選ぶ必要がある。

(2)多ニーズ対応型

小物雑貨店のようなイメージで、品物の種類を限定することなく、幅広い商品を展示販売するタイプである。幅広いニーズを取り込むことができるが、ターゲットを絞った営業活動がしにくいという短所がある。

開業ステップと手続き

(1)開業ステップ

開業に向けてのステップは、主として以下の6段階に分かれる。

開業ステップのフロー図

(2)必要な手続き

ボックスショップを開業するに際して必要な許認可などは特にない。

メニューづくり

  • 展示販売する商品は、ハンドメイドの小物、雑貨類、アーティストが制作したアート作品が多い傾向にある。
  • ボックスの高さ、位置、視認性の良さも考慮に入れたボックスレンタル料金設定が求められる。例えば、4段ボックスの場合は、最上段・上段・下段・最下段の4段階の料金設定(最も視認性の良い段を最も高い料金)にすべきであろう。
  • ボックス販売とは別に、店内に個展スペースを設けたり、有名作家の作品を展示販売するイベントを実施するなど、消費者のニーズを喚起するような工夫や話題作りにも取り組みたい。
  • ショップでの展示品をネットでも買えるよう、ネットショップを作る場合もある。

必要なスキル

  • 売場を演出するセンスと、販売を代行して売り上げる営業力の双方がスキルとして強く求められる。
  • 売場を演出するセンスについては、自ら試行錯誤をすることは当然ながら、プロのデザイナーに内外装のデザインを依頼するという手もある。
  • 来店者に店舗や展示物についてのアンケートを書いてもらい、出品者へのアドバイスや店舗改善につなげられるようにしたい。

開業資金と損益モデル

(1)開業資金

以下は、店舗面積15坪、ボックス数60箱でボックスショップを開業する場合の例である。

【参考】:ボックスショップを開業する場合の必要資金例

ボックスショップ開業資金例の表

(1)損益モデル

■売上計画
店舗の立地や規模などの特性を踏まえて、売上の見通しを立てる。

(参考例)ボックスショップ(店舗面積15坪、ボックス数60箱)

ボックスショップ売上例の表

■損益イメージ

(参考例)ボックスショップ(店舗面積15坪、ボックス数60箱)

ボックスショップ損益例の表

※個人事業主を想定していますので、営業利益には個人事業主の所得が含まれます。

※開業資金、売上計画、損益イメージの数値は、出店状況などにより異なります。

(本シリーズのレポートは作成時点における情報を元にした一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

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