フードコーディネーター
サービス接遇検定
必要なスキル
バー経営には、幅広いカクテルレシピの知識と技術が不可欠である。お客様が求めるクラシックなカクテルからトレンドに沿った新しいドリンクまで、幅広いニーズに対応できることが求められる。また、カクテルに使用する酒類やリキュールの特性に精通し、それらを最適な組み合わせで提供する能力が必要である。ウイスキーやワイン、ビールに関する深い知識も、顧客に対する説明や提案において重要な役割を果たす。
さらに、お客様とのコミュニケーションの質が他店との差別化に大きく作用する。単なる飲み物の提供だけでなく、顧客の嗜好やその日の気分に合わせたドリンクを提案できる柔軟な対応力が求められる。また、バー特有のホスピタリティを提供するために、細やかな気配りやお客様との親密な関係を築くスキルが重要である。
食材や酒類の仕入れにおいても、季節ごとの適切な材料の調達、取引先との強固な関係の構築が求められる。特に、輸入酒類の取り扱いには、仕入れルートの確保とコスト管理が欠かせない。
経営管理面では、効率的な在庫管理や適切なポーションコントロール(*3)を実施し、従業員の教育を徹底することと割引やサービスの権限をはっきりさせることが金銭管理を含んだ不正のない明瞭な経営に繋がっていく。
(*3)「ポーションコントロール」……提供する料理・飲料などの一人前の量(ポーション)を一定に保つこと。
開業資金の一例
バー業態の開業資金と運転資金の計画は、コンセプトとターゲットによって非常に大きく変わる。バーは厨房設備にかかる費用が比較的低めである一方で、内装や雰囲気づくりにある程度の投資が必要である。特に、都会の中心地にあるバーでは、スタイリッシュなデザインや高品質なインテリアか、独自性のある空間が求められることも多く、その結果として内装工事費が高額になる傾向がある。また、カクテルやウイスキーをメインとするバーでは、上質な器具やバーカウンターの設置、照明などの設備にも投資が必要である。
【バー開業資金の例】
恵比寿の駅から徒歩3分、ビルの8階に位置する8坪のバーを開業する際の費用の一例。
バーの開業には、内装や雰囲気づくりに対する投資は、顧客のリピート率に直結する重要な要素であり、しっかりと計画を立てて予算を確保することが求められる。また、希少性の高いものを売りにするのならば、仕入れ費用はさらに加算するべきだ。
売上計画と損益イメージ
バーは、他の飲食業態と比較して、売上に対する原価が比較的低い業態とされる。一般的に、飲料の原価率は20%から25%程度に抑えられることが多く、特にカクテルやワイン、ウイスキーなどの高単価商品では利益金額が大きくなる。しかし、初期段階で顧客数を十分に確保するのは難易度が高く、根気良く営業していく姿勢が大切である。
また、他の飲食業に比べて、食材の廃棄ロスや仕込みの時間が少ないことも特徴であるが、他業種に比べて、グラス磨きなども含めてクレンリネス(*4)の面では高い水準を維持するために時間と労力が必要になる。
(*4)「クレンリネス」……店舗や調理環境の清潔さを保つことで、スタッフの身だしなみ管理なども含む。
収支予測の一例をあげる。
【開業から3年目までの収支モデル】
社員は月給25万円、アルバイトスタッフは深夜時給を考慮し¥1500で計算
(バー業態では、近年多くの店舗が営業時間を短くしている傾向にあり、店長職の給与も抑えられている)
複合業態と補助金に関して
(1)昼の時間帯の別業態営業
近年では、バーを営業している店舗で、昼間の時間帯に別の業態を営業する店舗が増えている。夜がメインとなるバー業態の弱点を補うために、掛け合わせることのできる業態を開業当初から検討し、双方の営業を邪魔することなくできるように、計画段階から考慮する必要がある。
(2)商店街や空き家の利用に対する補助金のチェック
開業する地域によっては、市町村や都道府県などの行政の取り組みにより、商店街の活性化や空き家の再利用などを推進していることもあり、開業のタイミングと合えば、補助金や助成金を利用することが可能になってきている。商店街で開業する場合や女性起業家への補助を定期的に行っている自治体もあるので、開業計画段階でつぶさに確認することが必要である。
※開業資金、売上計画、損益イメージの数値は、開業状況等により異なります。
(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)