起業マニュアル
税務の手続き
税務には、納税額を計算して税務署に申告する確定申告業務と、帳簿作成や源泉所得税の納付など期中の手続き業務に大別できます。
税務って、何?
税務とは、法人税、所得税、消費税などの税金の申告と手続きをいいます。手続き業務には、納税業務、各種届出書の作成、申告の元となる会計帳簿の作成が含まれます。
税務で大切なことは、正しく所得(儲け)を計算すること、そして期限までに必要な申告、納税を行うことです。
これらができないと、追徴課税の発生や金融機関からの融資が受けられないといったリスクがあるので注意しましょう。
確定申告
確定申告とは、納める税金を確定する手続きをいいます。個人事業と法人で確定申告すべき税金が異なるので、以下、それぞれ見ていきます。
1. 個人事業
確定申告が必要な主な税金として、所得税、消費税、個人住民税、個人事業税があります。このうち、個人住民税、個人事業税は、所得税の確定申告をしていれば、改めて申告する必要はありません。したがって、所得税と消費税について見ていきます。
(1)所得税の確定申告
毎年1~12月の1年間の所得を計算し、翌年2月16日から3月15日(土日祭日が重なった場合は次の月曜日)までの間に確定申告を行い、3月15日までに所得税を納付します。確定申告は所轄の税務署にしてください。
(2)消費税の確定申告
原則として、開業して2年間は消費税の納税が免除され、確定申告をする必要はありません。消費税の仕組みとして、前々年の課税売上高が1千万円以下のとき消費税の納税義務が免除されるためです(一部、例外はあります)。
ただ、1年目から届出により課税事業者(消費税の納税義務がある事業者)となることができます。
消費税の課税事業者になった場合は、毎年1~12月の1年間の消費税を計算し、翌年3月末日までに確定申告を行います。そして、原則として申告期限である3月末日までに消費税を納付します。
確定申告は所轄の税務署にしてください。
2.法人
確定申告が必要な主な税金として、法人税、消費税、法人住民税、法人事業税があります。
(1)法人税
法人の事業年度の所得を計算し、原則として事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内(土日祭日が重なった場合は次の月曜日)までに確定申告を行います。そして申告期限までにまでに法人税を納付します。例えば、3月決算であれば5月末日までに申告と納税を行います。確定申告は所轄の税務署にしてください。
(2)消費税
原則として、開業して2事業年度は消費税の納税が免除され、確定申告をする必要はありません。消費税の仕組みとして、前々事業年度の課税売上高が1千万円以下のとき消費税の納税義務が免除されるためです(資本金1千万円以上の法人など、一部例外はあります)。ただし、届出により課税事業者となることができます。
消費税の課税事業者になった場合は、1事業年度の消費税を計算します。申告期限と納付期限は法人税と同じです。確定申告は所轄の税務署にしてください。
(3)法人住民税・法人事業税
法人住民税と法人事業税の申告期限と納付期限は法人税と同じです。ただし、確定申告書の提出先が法人税と異なり、管轄の都道府県税事務所と市町村になります(東京都23区の場合は都税事務所のみ)。
期中の手続き
税務は確定申告だけではありません。期中も行うべき手続きや届出があります。日々の帳簿作成は当然として、頻繁に関わる可能性が高い手続きについて見ていきます。
1.毎月必要な手続き
(1)源泉所得税
役員報酬や給与を支払ったり、税理士などに報酬を支払う場合は、支払金額に応じた源泉所得税を差し引きます(「源泉徴収」といいます)。そして、差し引いた源泉所得税は、給与など支払った月の翌月の10日までに国に納付します。
納付のときは、「納付書兼所得税の徴収高計算書」に必要事項を記載して、税務署か金融機関の窓口で納付します。
ただ、給与の支給人員が常時10人未満の事業者は、半年分まとめて納められる特例(7月10日と翌年1月20日)があります。この特例を受ける場合は「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出しなければいけません。
(2)住民税の特別徴収
毎年5月頃に市町村から特別徴収額の通知が来るので、それに基づいて6月から翌年5月まで役員・従業員の報酬・給与から住民税を差し引きます。差し引いた住民税は、報酬・給与を支払った月の翌月10日までに役員・従業員の所在地の市町村に納付します。
2.12月から翌年1月にかけて行う手続き
(1)年末調整
1年間に源泉徴収をした所得税の合計額と1年間に納めるべき所得税額を一致させるための手続きです。年末調整の対象となる人は、原則として「給与所得者の扶養控除等申告書」を事業者に提出している人です。したがって、個人事業主1人で事業を行っている場合は不要な手続きです。
扶養控除や保険料控除などを正確に把握して納付すべき所得税を確定させ、過不足を12月か1月の給与で調整します。
(2)年末調整後の主な手続き
1)源泉徴収票
年末調整が終わったら、源泉徴収票を作成します。源泉徴収票は、役員・従業員に交付するとともに、一定の要件に該当したら所轄の税務署にも送付(この場合は、2)の「法定調書合計表」と一緒に送付)します。
2)法定調書合計表
毎年、翌年1月31日までに給与や家賃等の支払金額等を記載した法定調書合計表を所轄の税務署に提出します。その際は必要に応じて源泉徴収票や支払調書を添付します。
3)給与支払報告書
毎年、翌年1月31日までに市区町村に提出します。書式は源泉徴収票と同じです。提出のときは、一定事項を記載した総括表を添付します。
(3)償却資産申告書の提出
機械装置や器具備品といった減価償却する事業用の固定資産について、毎年1月末日までに市町村(東京都23区の場合は東京都)に申告する必要があります。
その申告をもとに市町村は、固定資産税を計算して毎年5月頃に課税額を通知します。
3.中間申告
中間申告とは、期の途中で申告、納税する手続きのことで、所得税、法人税、消費税、住民税、事業税にあります。
原則として、前年の納税額を基準として税金を支払うので、中間申告も想定して資金繰りを考える必要があります。なお、一定の要件を満たせば中間申告が不要となる場合があります。
今後のヒント
確定申告や手続きの期限はそれぞれ決まっています。もし自分では難しいと思ったら、税理士に相談・依頼することも検討してください。
また、税制優遇を受けるためにも、青色申告は行いましょう。
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