起業マニュアル

求人広告の効果的な使い方

求人広告の概要

現在は、「雇用流動化時代」と言われており、転職経験をもつ社員の割合が増えてきています。また、企業の経営戦略のもとに正社員だけではなく、契約社員や派遣社員という雇用形態をとるところも増えてきています。そのため、企業の多くは常に優秀な人材の確保に努めなければならない状況にあると言えます。自社の希望にあった人材を見つけるためには、効果的な採用活動を行うことが大切です。その活動の中でも、求人広告をどのように出すかという問題があります。求人広告とは、主に媒体(※)に掲載される求人の情報をさします。
次に、多くの企業に活用されているものをあげます。

  1. ハローワーク
  2. 新聞・雑誌の広告欄
  3. 求人専門誌
  4. 求人専門誌
  5. 求人専門誌
  • 媒体とは、仲介するものや場のこと。新聞や雑誌などがこれにあたります。

求人広告を出すまでの流れ

求人広告を掲載するまでの流れは、媒体により若干異なることもありますが、ここでは、求人専門誌に求人広告を出すことを想定して紹介します。

<求人広告を出すまでの流れのイメージ>

  • 掲載に必要な資料を揃える際に、自社ですべてを用意する場合と、媒体元が制作する2つのパターンがあります。一般的に、掲載する情報には、次のものがあります。

企業情報データ
採用条件(保有資格や特定業種の経験の有無など)
雇用条件(雇用形態、給与、昇給、昇格、賞与、手当て、勤務時間、休暇、試用期間、福利制度など。また、給与や賞与に幅がある場合は、その背景またはモデル月収などを明記)
採用スケジュールや採用後の研修スケジュールなど

次章では、求人広告の媒体別の使い方や留意点を紹介します。

効果的な使い方

求人広告については、媒体別に特徴があります。それぞれの特徴にあった求人広告の出し方と、求職者が求人広告を見る際にチェックしている点を紹介していきます。

媒体別の特徴と求人広告の出し方の留意点

1.ハローワーク

ハローワーク(正式名称:公共職業安定所)とは、職業安定法にもとづいて、職業紹介や指導、失業給付などを行う国の行政機関です。求人広告を出す側も、求職者も無料でこの機関を利用できることが特徴です。求人広告を出す場合は、所在地を管轄するハローワークに申し込みます。本レポートで紹介しているほかの媒体と異なり、無料で求人広告を出せるため、費用をかけずに求人が行えます。

近年は、世代や属性によって形態の多様化が進んでおり、子どもをもつ女性を対象とした「マザーズハローワーク」や30歳未満の若者を対象とした「ヤングハローワーク」なども開設されています。そのため、自社のほしい人材の属性などを特定することで、成約の確率が高くなると言われています。

2.新聞・雑誌の広告欄

新聞や雑誌は、広い読者、または特定のターゲットに向けて、社会の出来事や情報などを伝える紙媒体です。いずれも、広告欄を設けており、そこに求人広告を掲載することができます。利用する際は、広告代理店を通じて申し込みます。

新聞・雑誌によってそれぞれ読者層が異なりますので、自社にふさわしい人材が得られるよう、よく吟味して広告を出す必要があります。新聞は多くの人の目につくという特徴があるので、広い範囲で人材を探す際に向いており、雑誌は特定のターゲットに向けた媒体のため、自社のほしい要素とその媒体とがリンクしていると効果が高いと言われています。たとえば、車情報誌上に車販売員の求人広告を出すといったことです。

3.求人専門誌

求人専門誌は、求人に特化した情報誌で、書店やコンビニ、駅売店などの多くの場所で販売、場合によっては無料で配布されています。知名度が高いために、広範囲の層に訴えやすいことや、正社員向けやパート・アルバイト向け、技術者向け、女性向けなどと募集する人材に応じて媒体が分かれていることも特徴と言えます。

求人専門誌は、広範囲に読まれるという利点がある反面、非常に多くの募集広告が掲載されているため、よほど目立つものでないと見落とされるという欠点もあります。なお、求人専門誌での募集では、発行された日の午前中に応募が集中する傾向があります。そのため、その短期間で目立つようにすることが大切です。たとえば、求職者にとってメリットとなることを全面に打ち出すほか、職場の雰囲気を写真で掲載するなどです。そのほか、広告を目立たせるためには、その分費用がかかりますが、広い誌面で掲載する、一定期間連続で掲載するなどの方法が考えられます。

4.折込みチラシ

折込みチラシは、日本に古くからある宣伝・広告媒体の一つで、新聞などの間に折り込むビラのような広告をさします。この広告は新聞に挟まれているため、新聞をとっている家庭に直接届けることができるという特性があります。また、地域限定で配布されるので、自社が近隣者を採用したいという希望があれば向いている方法と言えます。また、一企業が単独で折込みチラシを出すと費用がたいへん高額になるため、一般的には折込み広告の中でも求人広告を専門にしている業者に依頼します。希望すれば、複数の企業と一緒にチラシに掲載され、単独で広告を出すのと比較してコストを抑えることができます。

求人広告を出す際には、求職者にアピールしたい点が伝わりやすいように、配色やレイアウトを工夫します。最近ではカラー印刷が増えており、多くの場合、写真を載せることも可能です。また、ほかのチラシが多い場合、派手な広告の陰に隠れて見落とされてしまうケースもありますので、チラシを入れる曜日などを検討する必要があります。

5.インターネット

パソコンとインターネットの普及に伴い、インターネットを使った求人広告が注目を集めています。なかでも、近年では専門の求人サイトに広告を出す方法が主流となっています。求人サイトとは、求人専門誌の出版社や人材バンクなどが運営している求人情報のサイトのことで、企業と求職者双方の条件をマッチングしてくれるものです。求職者が無料(通信費は考えないものとする)で閲覧することができるため、広い範囲で求人広告が行えます。また、企業側は、雑誌などと比較して広告料が安価なことなどから経費を削減できるという点もあります。

求人専門誌同様、掲載された日の午前中が勝負であり、その短い時間帯に応募が集中します。掲載日から時間が経つに連れて応募者が減っていくため、長時間待っても効果はあまり期待できません。求人広告を出す際には、掲載されるタイミングを図るとよいでしょう。たとえば、GWなどの長期の休み期間は、求職者の閲覧が少ないため、広告効果が薄いと言われています。また正社員向けの求人であれば、一般的にボーナスの支給月である8月や12月直後には、転職を希望する人が多く閲覧すると言われており、広告効果が望めます。

求職者がチェックしている点

自社が求める人材と求職者の能力や希望が合致してはじめて採用につながるので、企業側がある程度条件などを設定することもポイントとなります。しかし、まず求める人材を確保するためには、求職者の目をひくことが大切と言えるでしょう。求人広告自体が目立たないのでは、機会の喪失と広告掲載費の無駄になりかねません。

では、求職者がその会社にアプローチしてみようと決定付けるのは、どのようなことからでしょうか。以下にそのポイントをあげます。

雇用条件
企業の雰囲気
企業の方向性(目標や成長度など)
企業の対外的イメージ

また、具体的には

経理知識、パソコン知識、語学力など専門能力を活かせる
充実した福利厚生
長く働ける会社(アルバイトでは短期でも可能なことが利点につながります)
人間関係がよい
自由な勤務時間(フレックスタイムがあるなど)
転勤がない
将来性が高い
残業がない
責任あるポジション

などのキーワードをよく見て検討していると言われています。
適切な媒体を選び、効果的な掲載内容を吟味することが、自社にあった人材を確保するための第一歩と言えるでしょう。

最終内容確認 2018年2月