起業マニュアル

起業仲間との共同経営上の留意点

起業仲間との共同経営上の留意点

起業仲間との共同経営上の留意点を把握する上で、まず、共同出資して法人を設立する方法や有限責任事業組合の設立など、共同経営のパターンを見ていきしょう。その上で共同経営上の留意点を確認していきます。共同経営は、事業の可能性が広がる分、経営者同士のトラブルが発生しやすくなりますので、事前準備が欠かせません。

共同経営のパターン

共同経営には、主に法人か組合で行う2パターンが存在します。具体的には下記の方法です。

1.共同出資して法人を設立

一般的な方法として、二人以上で、共同で出資して会社をつくる方法です。

2.有限責任事業組合の設立

個人事業主や法人の二人以上で、共同で出資して組合をつくる方法です。

3.その他

お互いが個人事業主で共同経営をする方法です。しかしながら、この方法は、販売代金を折半して振り込んでもらえるよう、取引先にお願いしなくてはならないなど、事業の拡大を図っていくうえでは、現実的には難しい面が多いといえます。

共同経営における留意点

共同経営を行う場合、一人で起業するのに比べ、事業拡大の可能性は広がりますが、反対に意見が割れることにより事業が頓挫するリスクもあります。事前にルールをつくっておくことが大切です。
具体的には、出資割合や金額、報酬の決め方、業務の担当や役割などです。共同経営のルールや事業の目的、期間も含めて、契約書を作成しておくとよいでしょう。

例えば、株式会社の意思決定には、議決権の過半数が必要になります。ところが、共同経営者2人で出資比率を50:50としていると、共同経営者の間に亀裂が生じた場合、何も意思決定が出来なくなる可能性があります。出資比率は同率ではなく、51:49となる状況をつくることで、事業が滞り関係者に迷惑をかけることも回避できます。

また、合意内容を書面化しておくと未然にトラブルを防ぐことができるほか、万が一、共同経営者同士がトラブルになった場合でも、解決に費やす時間なロスを抑えることが出来ます。それ以外にも定期的にミーティングの機会を持ち、常にコミュニケーションを良好に保っておくことも必要です。

結局のところ、経営者が同じ割合で経営するというより、「だれが主体となる事業なのか。」を明確にしておくことが望ましいです。

トラブルの要因と未然防止策

ルールを決めず共同経営を開始した場合、業務の重複やムラが発生し、トラブルの元となります。ルールを決めて契約書を作成しましょう。
また、出資比率が均等の場合、最終的な経営判断ができず、事業が滞り、トラブルの解決に時間が必要となります。出資比率に差をつけ、最終的な事業の主体者を明確にしておきましょう。

「私たちは仲が良いし、お互いのことを良くわかっているから、ルールなんて必要ない」という起業者もいますが、起業をすると思いもよらないチャンスやトラブルが舞い込みます。仲が良い人たちの方が、日々の意思疎通を軽んじてしまい、気づくとバラバラということも少なくありません。用心には用心を重ねて、始まる前にきちんと準備をしておきましょう。