業種別開業ガイド
韓国家庭料理
- 韓国料理店といえば焼肉専門店がポピュラーであるが、本ガイドでは、韓国家庭料理を専門に提供する韓国家庭料理店を取り上げる。
- WizBiz株式会社が2010年に実施したアンケートによると、韓国家庭料理店の利用率は、男性平均で23%、女性平均で21%であったが、今後「ぜひ利用したい」と「どちらかといえば利用したい」を合わせた比率は、男性平均で35%、女性平均で41%となっている。
現在の利用率は21~23%程度であるが、今後の利用意向は35~41%と比較的高くなっている。韓流ブームで韓国文化が身近になったことからも、今後、韓国家庭料理店の需要は堅調に拡大していくと考えられる。 - 総務省統計局「経済センサス(2009年調査、2011年公表)」によれば、韓国家庭料理店は、「その他の専門料理店」に分類される。「その他の専門料理店」の事業所数は、2009年時点で4万2,466事業所(うち個人事業所:2万1,789事業所、法人事業所:2万656事業所)となっている。従業員規模別に見ると、従業員数1~9人規模が2万9,320事業所、10~19人規模が7,654事業所、20~29人規模が3,210事業所となっている。
「その他の専門料理店」では、従業員数9人以下の事業所が全体の約69%、19人以下の事業所が全体の約87%、29人以下の事業所が全体の約95%を占めていることになる。
1.起業にあたって必要な手続き
1)食品衛生法に基づく営業許可
飲食店を開業するには、「飲食店営業」の申請を行い、許可を得る必要がある。手続きは、出店地域の保健所食品衛生課にて行う。申請に際しては、申請書、店舗図面(厨房配置入り平面図)、水質検査証明書、(法人の場合は法人の登記簿謄本)を手数料を添えて提出する。
2)食品衛生責任者の配置
食品衛生法では、各店に1人、食品衛生責任者を置くことが義務づけられている。食品衛生責任者には、調理師、栄養士、製菓衛生師のいずれかの資格を持つ者が必要である。資格者がいない場合は、地域の保健所が実施する食品衛生責任者のための講習を受講し、試験に合格しなければならない。なお、食品衛生責任者の資格は、各都道府県内のみ有効となっている。
3)その他の手続き
個人であれば税務署での開業手続き等が必要となる。法人であれば必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きを行う。
2. 起業にあたっての留意点・準備
韓国家庭料理店は、「韓国本場の家庭料理を提供する」というコンセプトから、韓国料理に関する深い知識と高い技術が必要とされる。また、食材に関しても、キムチ、香辛料、酒などは、できれば韓国産の食材を使うことが望ましい。韓国家庭料理店は、従来は、コリアンタウンを中心に地元韓国人などをターゲットにした店舗が多かったが、近年は日本人の利用者の増加にともない、日本人向けに食材や味をアレンジする店舗もあるようである。
WizBiz株式会社のアンケート(2010年調査)によれば、客単価のボリュームゾーンは、1,000~2,000円未満の範囲にあると考えられる。同調査によれば、韓国家庭料理店の利用者全体の33%が1,000~2,000円未満の範囲内で利用し、54%が500~2,500円未満の範囲内で利用し、70%が3,000円未満の範囲内で利用している。
香辛料を多く使った韓国料理は、日本では冬に人気の出る傾向がある。このため、年間を通じて安定した集客を行うためには、四季に応じたメニューの訴求が必要だといえる。また、酒を出す機会が多いため、夜に利用客が集中しやすい。
このように、季節変動があり、かつ1日の中でも利用客の変動が大きいため、従業員やアルバイトのシフトや配置には注意を要する。また、繁忙期にも充分対応できるよう、業務フローのマニュアル化や計画的な食材調達も必要である。とくに、国内で入手しにくい食材に関しては、独自の調達ルートを開拓するなど、安定的な仕入れを確保できるようにしておかなければならない。
3. 必要資金例
店舗面積20坪の韓国家庭料理店を開業する際の必要資金例
4. ビジネスプラン策定例(モデル収支例)
1)売上計画例
2)損益計算のシミュレーション
- ※人件費は、アルバイト2人を想定
- ※初期投資一括計上分は、開業費の金額
- ※減価償却費は、設備工事費・什器備品費等の額を5年で償却したもの
- ※必要資金、売上計画、シミュレーションの数値などにつきましては出店状況によって異なります。
また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。
最終内容確認日2014年2月