業種別開業ガイド

行政書士

  • 行政書士は総務省所管の国家資格であり、日常生活における行政上の手続きの専門家である。おもな業務内容は、官公署に提出する書類などの作成、書類提出手続きの代行、書類作成に関する相談などである。
    2002年7月1日から行政書士に許認可申請手続きや契約その他に関する書類作成への代理権が付与されたことから、コンサルティングを含む許認可手続き業務のニーズが拡大している。
  • 行政書士の業務を行なえるのは、行政書士となる資格を有し、かつ日本行政書士会連合会の行政書士名簿に登録された者と規定されている。「行政書士となる資格を有する者」とは、行政書士試験合格者のほか、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士の有資格者、公務員として行政事務を担当した期間が通算20年以上の者などを指す。
  • 行政書士試験の2004度の受験者は7万8683人で合格率は5.33%。合格後しばらく行政書士事務所や法律事務所のスタッフとして実務経験を積んだり、関連資格を取得してから独立・開業するケースが少なくない。

■起業にあたって必要な手続き■

●行政書士名簿への登録

行政書士として独立・開業するにあたっては、行政書士名簿への登録申請および行政書士会への入会を行なう必要がある。手続きは、事務所を開設する地区を管轄する行政書士会を通じて、日本行政書士会連合会に申請するかたちで行なう。
*名簿への登録と入会の手続きは同時に行なわれる。

【日本行政書士会連合会】
所在地:〒153-0042 東京都目黒区青葉台1-3-6 行政書士会館2階
TEL:03-3476-0031

●税金に関する手続き

<開業に関する書類>
○個人事業の開廃業等届出書:開業したことを納税地の税務署に通知する書類
○個人事業税の事業開始等申告書 など

<雇用に関する書類>
○青色事業専従者給与に関する届出書:配偶者や親、子どもなどを専従者として雇う場合に、所轄税務署に提出する。
○給与支払事務所等の開設届出書:社員やパートを雇用して給与を支払う場合、所轄税務署に提出する など

<所得税や源泉所得税に関する書類>
○所得税の青色申告承認申請書
○所得税の「棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法」の届出書:棚卸資産の評価方法もしくは減価償却資産の償却方法を選択する。
*計算方法が複雑なため、税務署員や税理士などの専門家に相談したほうがよい。
○源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書:源泉所得税を従業員に代わって事業主が税務署に支払う回数を年2回にすることができる など

●社会保険に関する手続き

<健康保険・厚生年金保険に関する書類>
法務に携わる事業者は、健康保険ならびに厚生年金保険へ任意に加入することができます。ただし、事業主は対象となりませんので、国民年金・国民健康保険に加入します。申請を行う場合は、健康保険および厚生年金保険の適用対象となった日から5日以内に、管轄の社会保険事務所へ「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を提出します。なお、手続きに際しては、労働者名簿や賃金台帳など、さまざまな書類が必要になるため、あらかじめ管轄の社会保険事務所にご確認ください。

※法人化した場合、社会保険などに関する手続きについては、一般の株式会社の設立と同様になります。

<労災保険・雇用保険に関する書類>
従業員(パートを含む)をひとりでも雇っていれば、労働保険(*)に加入しなければならない。

*「労働保険」とは「労働者災害補償保険(労災保険)」と「雇用保険」の総称。
・労働保険...... 事業開始から10日以内に、「労働保険の保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署または公共職業安定所(ハローワーク)に提出し、その年度分の労働保険料を概算保険料として申告・納付する。
・雇用保険...... 事業開始から10日以内に「適用事業所設置届」を公共職業安定所に提出する。また、雇用翌月の10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する。

最終内容確認日2014年2月