コミック以外のコンテンツが伸び悩んでいる
従来の出版業から参入する場合、デジタル・コンテンツ制作や販売のノウハウが必要
電子出版業開業の9ステップ
電子出版業の商品企画と販売方法
これから電子出版業を開業しようという場合、どのようなコンテンツを扱うのか、どのように販売するのかを、まず決定する必要がある。コンテンツ配信に特化したサービスを提供するなら、電子書籍著作権代行業者を通して権利を獲得するか、作家と直接契約する方法がある。また、自社で作家を発掘したほうが、当然、営業利益率は高くなる。SNSやブログで既に多くのファンを集めている作家のコンテンツを出版するやり方なら、ある程度の販売数があらかじめ見込めるため有効だ。
また、これまで紙の書籍出版を長く続けてきた事業者であれば、そうした過去資産をデジタル化して再版するという活用方法もある。コンテンツの企画制作に集中するなら、電子書籍取次に委託すれば、複数の電子書籍書店との間のめんどうなやりとりをすべて代行してくれて便利だ。大手出版社らが株主となって、株式会社モバイルブック・ジェーピー、株式会社クリーク・アンド・リバー、株式会社ブックリスタ、株式会社メディアドゥ、株式会社ブックウォーカーといった取次の系列化が行われている。
いずれにせよ、電子書籍は再販制度の適用対象外で小売価格を指定できない。そこで、書店や取次との間で「ホールセール(卸売)」契約を結ぶ場合が多いが、書店が出版社の販売業務を代行する「エージェンシー(委託販売)」契約として、小売価格を出版社が決定する場合もある。ただし、エージェンシー契約のほとんどは、実績のある出版社と書店との間で決められているので、開業したばかりの電子出版社の場合、やはりホールセールで販売していくことになるだろう。
「ホールセール」の場合、一般的に,希望小売価格を100%とすると、そのうち出版社は約60%、電子取次は約10%、電子書店は約30%程度で設定されているが、版元の実績などによって多少の差が設けられている。ただし、書店によって条件はさまざまなので、マーケットの規模・ターゲット層・求めるクオリティ・予算などを熟慮し、流通・販売法を選択したい。
また、著作権などの侵害を防ぐため、コンテンツの利用や複製を制御・制限する技術や機能の総称を「デジタル著作権管理(DRM:Digital Rights Management)」という。それぞれの電子書店が利用しているアプリでなければ読むことができず、読者は読む権利を購入することになる。クリエイターや著作権者の権利を保護することに結びつくが、読者にとっては特定のデバイス、ビューアやアプリでしか読めず、一度購入したコンテンツが恒久的に読める保証はない。それに対してソーシャルDRMと呼ばれる配信方式では、書籍データそのものを購入することになり、購入すると電子透かしで個人情報を書き込まれるが、どのような閲覧環境でも読めるようになる、という仕組みだ。ユーザーの利便性と著作権の管理は、いずれも電子出版業に取り組む際には重要なポイントとなるため、最新の各社の対応を把握しておきたい。
以下は、電子出版業を含む出版社の黒字企業経営指標の概況となる。おおよその目安として参考にされたい。
※開業資金、売上計画、損益イメージなどの数値は、開業状況等により異なります。
(本シリーズのレポートは作成時点における情報を元にした一般的な内容のものであるため、開業を検討する際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)