業種別開業ガイド

トランクルーム業

2020年 2月 6日

トレンド

(1)業界構造

トランクルームサービスは倉庫事業者と非倉庫事業者のものがある。倉庫事業者によるサービスは、保管の安全上、出し入れできる時間などに制約が多い。ただし、顧客によっては、自由に出し入れしたいという要望があり、これに応える形で非倉庫事業者によるサービスが登場。最近は、レンタル収納やレンタルボックスを一般消費者が手軽に利用する傾向もみられ、新規参入が容易であることから業者も増えている。

(2)一般層の利用が増加

トランクルームは、家庭の季節用品から趣味のコレクションをはじめ、法人需要の書類・資材など荷物の保管ニーズは様々である。最近は24時間自由に出し入れできるサービスもある。

利用客としては法人と、富裕層の個人客が多かったが、最近では住宅地付近を中心に一般層の利用が増加している。主な利用者は個人にシフトしており、現在では9割を占めている。業界首位の(株)キュラーズによると、2018年のトランクルーム市場(屋内・屋外含む)は過去最高となる590億円規模に拡大、2025年には1,000億円規模への市場拡大も期待されている。

(3)未開拓市場

トランクルームは、30年以上も前から事業が行われているが、欧米ではトランクルームを日本より身近に利用している。米では、日本の50万室に比べ1700万室と30倍以上の巨大な市場を形成している。1室当たりの広さが米国の方が大きいことを勘案すると、その市場規模はより大きな差が存在すると思われる。このように業界自体は古くからはあるものの、日本のトランクルーム市場規模は、まだ黎明期にあり未開拓の市場といえる。

(4)都市部における高い需要

現在、東京や大阪などの狭い居住空間の地域で成長が目覚ましく、住宅が密集する都市部での成長が期待されている。特に3大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)では、今後も堅調に市場拡大が進むと見込まれる。また、2020年の東京オリンピックを控え、さらに需要が高まるものと思われる。

一方、地方においても、ある程度の需要が見込まれ、収納サービスの認知度向上の相乗効果により、都市部ほどではないものの緩やかに拡大するものとみられる。

ビジネスの特徴

非倉庫事業者によるトランクルーム業は、空間(スペース、ボックス)を貸すというサービスであり賃貸契約である。倉庫業法に基づかないため、主に不動産賃貸借契約に基づき物品への保険が付されない場合が多い。この点が倉庫事業者とは異なる。また、不動産賃貸借契約に基づくものの、不動産に比べ初期投資は低く抑えることが可能である。加えて、退去時の原状回復費用やリフォーム費用なども必要ないため、費用負担の面で大きなメリットがある。

以下に倉庫事業者及び非倉庫事業者の相違点を記載する。

区分

倉庫事業者

非倉庫事業者

契約形態

寄託契約

賃貸契約

売上

物品の預かり料

スペースに応じた賃貸収入

参入制限

倉庫業法に基づく国交省の許認可

特になし

保管物の出し入れ

業者の立ち会いが必要

自由

利用時間

倉庫の営業時間内

原則自由

保証義務

あり

なし

開業タイプ

トランクルーム経営の営業形態は「自己運営」「フランチャイズ」「一括借り上げ」の3種類がある。一括借り上げの場合は土地を貸し出すだけなので投資が不必要な場合が多いが、自己運営の場合は全ての費用を自己負担する。またフランチャイズ運営の場合は、知名度が高く集客が見込めるが、フランチャイズ料等の費用負担もある。

開業ステップ

(1)開業のステップ

開業のステップ

東京や大阪などの居住空間の狭い都市部での需要が高いことを考えると、こうした地域が有力な開業場所の候補とはなるが、収納サービスが認知されてきている背景も踏まえ、立地をどうするかは入念に考えたい。

(2)必要な手続き

倉庫事業者がトランクルーム業を開業する場合には、倉庫業法第4条に基づいて国土交通大臣の行なう登録を受ける必要がある。また第11条により倉庫管理主任者の選任が義務付けられている。なお、第一種住宅専用地域、第二種住宅専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域では、倉庫業を営むことができないので注意したい。

必要となる書類は、主に以下のものがあげられる。

  • 土地・倉庫の不動産登記簿謄本
  • 土地・倉庫の賃貸借契約書
  • 土地・倉庫の図面
  • 建築確認通知書
  • 検査済証
  • 申請する法人についての商業登記簿謄本
  • 倉庫管理主任者関係書類

営業形態

(1)認定トランクルーム

国土交通省では、倉庫業者の申請に基づき「優良トランクルーム」の認定を行っている。

(2)営業倉庫の標準寄託約款に基づくトランクルーム

国土交通大臣が定める倉庫業者の標準的な倉庫寄託約款をいい、倉庫業法第8条で規定されている。

(3)不動産賃貸のレンタル収納スペース

不動産賃貸業者が運営している「レンタル収納スペース」では、ビルやマンションのフロア内に荷物を自由に置ける場所を借りることができる。「レンタル収納スペース」の特徴は、荷物の出し入れに厳しいルールがない事があげられる。

(4)野積みコンテナ

地面に固定されないコンテナは野積みと言う。コンテナというものは、本来、船舶やトラック、貨物列車などで物資の運搬に使われるもので、そうした用途の場合には建築物とはみなされない。手軽である一方、設置された場所で継続して倉庫として使用する場合には建築物と見なされ、建築基準法に適合する必要がある。

必要なスキル

顧客からのクレームなどが比較的少ない業態ではあるが、都市計画法など不動産に関する知識は最低限必要である。例えば「第1種低層住居専用地域」「第2種低層住居専用地域」「第1種中高層住居専用地域」および「市街化調整区域」においては、コンテナボックスを設置して屋外型トランクルームを経営することはできない等。

開業資金と損益モデル

チェーン加盟の場合の損益モデルについては、各フランチャイズ本部から説明会などで説明されるため、ここでは独自ブランドでの新規開業をモデルとして取り上げる。

(1)開業資金

必要資金例の表

敷地231平米 賃貸料月10万円 保証金賃料10か月
トランクルーム14個を中古で購入

(2)損益モデル

a.売上計画

年間営業日数、トランクルーム14個、月額単価2万円とし、売上高を算出した。

売上計画例の表

b.損益イメージ

上記、a.売上計画に記載の売上高に対する売上総利益および営業利益の割合(標準財務比率(※))を元に、損益のイメージ例を示す。

損益のイメージ例の表

※標準財務比率は倉庫業に分類される企業の財務データの平均値を掲載。
出典は、東京商工リサーチ「TSR中小企業経営指標」。

c.収益化の視点

不動産業などに比べ資本投下は低額で済むものの、装置産業であることを考えると固定資産に対する資金負担はやや大きい。設備は規模が大きくなるほど、また、古くなるほど補修・改修が発生し、設備の改修への対応が必要となる。このため、空室を防ぎ、安定した賃貸収入を得ることが必要となる。

※開業資金、売上計画、損益イメージの数値は、出店状況等により異なります。

(本シリーズのレポートは作成時点における情報を元に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討する際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)