業種別開業ガイド

コイン駐車場

  • コイン駐車場とは、不特定多数の利用者に対して駐車スペースを提供し、時間単位による利用料金を無人にて回収する駐車場をいう。駐車スペースは数台から数十台規模まであり様々である。
  • 2006年の道路交通法の改正によって、駐車違反の確認を民間へ委託できるようになった。そのため駐車違反への取り締まりが厳しくなることが予想されることを背景に、コイン駐車場の需要は今後高まると考えられる。
  • WizBiz株式会社のアンケート調査(2011年調査)によれば、コイン駐車場の利用状況は、30~40代男性を中心に利用率が高い。同調査によれば、コイン駐車場を「よく利用している」または「たまに利用している」人達の割合は、性別・年代別では、30代男性(54%)、40代男性(53%)、50代男性(47%)、60代男性(44%)などの順になっている。また、1回あたり利用金額は「500~1,000円(46%)」が一般的な相場だと考えられる。
  • 総務省統計局「経済センサス(2011年6月3日公表)」によれば、「駐車場業」の事業所数は、2009年で3万6,396事業所であり、そのうち、従業員数が1~4人規模が3万3,191事業所、従業員数が5~9人規模が2,122事業所となっている。「駐車場業」では、従業員数4人以下の事業所で全体の約91%、9人以下の事業所で全体のほぼ97%を占めていることになる。

1.起業にあたって必要な手続き

開業に際しては、地形図、平面図、管理規定(営業時間、駐車場料金、その他)等について、市区町村に届出を行い、都道府県知事の承認を得なければならない。面積や設置地域などによっては、道路法、道路交通法、都市計画法、建築基準法、消防法、自治体の条例等の規制を受ける場合があるため、詳細に関しては、都道府県庁もしくは各市区町村の企画課・計画課窓口であらかじめ相談しておくことが望ましい。

また、個人であれば税務署での開業手続き等が必要となる。法人であれば必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きを行う。

2.起業にあたっての留意点・準備

コイン駐車場の運営形態としては、主に「自営方式」「運営委託方式」「一括借上げ方式」の3種類がある。「自営方式」とは、事業主が土地や設備の全てを用意して自らが管理運営を行うシステムである。「運営委託方式」とは、土地所有者が自己負担で設備投資をして、管理運営のみを業者に委託するシステムである。「一括借上げ方式」とは、土地所有者が業者に土地を貸与し、業者が設備投資から管理運営までの全てを行うシステムである。

<自営方式>

  • 事業主のメリット:経営の自由度が高く、成功した場合の収益性は高い。
  • 事業主のデメリット:初期投資額と管理運営のための費用と手間がかかる。また、駐車場経営に関する幅広いノウハウを持っていなければ失敗するリスクも大きいと考えられる。

<運営委託方式>

  • 土地所有者のメリット:初期投資と運営委託費用のみの負担で、人手間をかけず駐車場ビジネスに携わることが出来る。
  • 土地所有者のデメリット:経営の自由度は低い。
  • 運営業者のメリット:管理運営に特化したノウハウを高めることで自営方式や一括借上げ方式の事業者との差別化を図ることができる。
  • 運営業者のデメリット: 売上の一部(一定割合)を土地所有者に還元しなければならない。

<一括借り上げ方式>

  • 土地所有者のメリット:安定した賃料収入を得ることが出来る。
  • 土地所有者のデメリット:事業としての収益性は他の方式に比べて低い。
  • 運営業者のメリット:経営の自由度が高く、成功した場合の収益性は高い。
  • 運営業者のデメリット:初期投資額と管理運営のための費用と手間がかかる。また、駐車場経営に関する幅広いノウハウが必要とされる。

コイン駐車場事業には、フランチャーズ・チェーンを展開している企業も存在するので、土地所有者として、または運営業者として、FC加盟によるコイン駐車場事業への参入の可能性を探ることもできる。

3.必要資金例

自営方式(自己所有の土地35~40坪、駐車スペース6台)でのコイン駐車場開業の際の必要資金例

4.ビジネスプラン策定例(モデル収支例)

1)売上計画例

2)損益計算のシミュレーション

  • 初期投資一括計上分は、開業費の金額
  • 減価償却費は、設備工事費・什器備品費等の額を5年で償却したもの
  • 必要資金、売上計画、シミュレーションの数値などにつきましては地域の駐車場代相場、駐車場数によって異なります。
    また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。

最終内容確認2014年2月