起業マニュアル
運転資金の考え方
運転資金は、日々の事業を続けていくために必要となるお金です。
開業しようとする場合「最初にどの程度の資金が必要なのか」に関心が向きがちですが、商売が続けられるかどうかは、日々の運転資金が確保できるかどうかです。
運転資金がどの程度必要となるのかは、商売のやり方によって大きく変わってきます。
初めようとする事業について、「運転資金にどのような特徴があるのか」を把握できると良いでしょう。
運転資金とは
1.変動費と固定費
運転資金は、大きく「変動費」と「固定費」に分けられます。これは、基本的に運転資金は売上高と密接な関係があるからです。
「変動費」は売上と連動して日々変動する費用で、材料費や仕入費用、販売関連の消耗品や運賃などが該当します。
「固定費」は売上と連動しない固定的な費用で、人件費や物件賃貸料などが該当します。
変動費の割合が大きい場合、売上が上がっても利益はそこそこですが、売上が下がった場合は費用も減ることになるので、事業は比較的安定します。
逆に固定費の割合が大きい場合、満足な売上が確保できないと、事業が急激に厳しくなってしまいます。
事業の形によって、「変動費型」なのか「固定費型」なのかが決まります。具体的な金額をどうするかも重要ですが、それは検討が進んだ後の話ですので、まずは「どのような費用構造を目指すのか」を確認するようにしましょう。
原則として、開業当初は売上の見込みが立ちにくい状態ですので、「固定費」を抑えるべきであると考えられます。
2.収入・支出のタイミング
商売によっては、売上が立ったとしても、すぐに入金されるとは限りません。逆に仕入れや外注などで支払が発生した場合も、商品が届いたと同時に振り込むのではなく、時間を置いて支払う場合もあるでしょう。
これらの収入・支出のタイミングが事前に分かっていれば、それに合わせて手持ち資金を準備する必要があります。
在庫を事前に用意する場合や、販売先が企業相手などで売上の回収が遅くなりそうな場合は、多めに運転資金が必要です。
運転資金の項目
業界だけでなく、事業の形や方法によっても、必要となる運転資金は異なります。例えば、従業員の給料(人件費)、店舗の賃貸料、原材料の購入費、光熱費、通信費、交通費、福利厚生費などです。下記に具体的な項目を列挙しますので、参考にしてください。
まずは、自身の事業内容を考えて、どのような運転資金項目が発生するか、リストアップしてみましょう。商売の方法によって、必要な費用項目も変わりますので注意が必要です。
必要な運転資金の計算
必要な運転資金の項目をリストアップしたら、どの程度かかりそうか金額を計算してみましょう。まずは各費用を1カ月単位で算出してみると、イメージがつきやすくなるはずです。
運転資金の項目と金額が揃ったら、不足がないか改めて確認します。細かいところですが、借入金の返済利息や返済元金なども、定期的に支出される項目になりますので、忘れないように計上しましょう。
開業時点では、この運転資金の項目で必要な金額の2~3ヶ月分があると安心です。