起業マニュアル
補助金・助成金の活用
「助成金」「補助金」という言葉は、必ずしも明確に区別されていませんが、どちらも行政や民間団体が特定の目的のため、資金を給付する仕組みです。
原則として返済が不要となる場合が多く、利用者のメリットが大きい制度ですが、募集期間が定められていたり、年度によって内容が異なっていたりするなど、補助金・助成金ならではの注意すべきポイントがあります。
補助金・助成金とは
補助金・助成金は、何かしらの目的を持ち、その目的に沿った取り組みを推奨するための仕組みです。
取り組みに要する資金の一部を、補助金・助成金という形で給付します。
その時々の政策と連動した内容となっています。目的に沿う形で、要件が定められていますので、合致しない場合は利用することができません。加えて、応募者が多数の場合は競争となるため、必ず利用できるとは限りません。
また、資金の全額を給付する制度は少なく、自己負担5割(給付5割)、自己負担3分の2(給付3分の1)など、自己負担を要する場合が大半です。
受け取った補助金・助成金は、ほとんどの場合で課税対象となります。
受け取りまでの流れ
補助金・助成金は、原則として後払いになります。事前に申請し、認定を受けた後、申請内容に沿って取り組みを行い、その結果を報告し確認を受けることで資金を得ることができます。
実務上は、資金を受け取るまでの期間が長いため、金融機関からつなぎの資金を借りて対応する場合が多いようです。
1.事前に申請を行う
様々な制度がありますが、原則として事前に利用申請を行います。予算などの関係で、公募、審査、選考が行われる場合があります。申請し認定を受ける前に事業に取り組んでしまった場合、補助金・助成金の対象外となるケースが多いので注意してください。
制度によっては、採択後に所定の手続きを経て、初めて事業を開始することができます。
2.申請内容に沿って取り組みを行う
補助金・助成金には目的があり、内容が厳密に定められているものが多くあります。申請時に内容について確認を受けますが、実際の取り組みが申請内容に沿っていない場合、資金の給付を受けることができません。
また、内容のほかにも、実施する時期なども規定されています。定められた時期以外に費用の支出等を行った場合、資金の給付を受けることができません。
必要に応じて、資料なども揃えておく必要があります。
3.取り組み結果を報告し確認を受ける
所定の書式で取り組み結果を報告し、申請内容と相違がなければ資金の給付を受けることができます。受け取った資金については、税務上の取り扱いに注意してください。制度によって取り扱いが異なる場合があります。
制度の内容によっては、受け取り後も何かしらの制限がある場合があります。例えば、購入した機械の使用用途や収益納付(補助金の交付を受けて行った事業で利益が出たときに、補助金の交付額を限度に利益の一部を納付する)等があります。
また、事務が適正に行われ、不正がなかったかどうか確認する目的で、検査を受けることもあります。
補助金・助成金を探す
補助金・助成金については、全国規模のものもあれば、市区町村単位、団体単位など大小さまざまなものが存在します。
多くの場合は実施主体のホームページなどで告知されますが、助成金・補助金の調査をサポートするサイトがありますので、興味があれば利用してみてください。
例えば、J-Net21の「支援情報ヘッドライン」では、国や都道府県等の中小企業向けの支援施策情報を検索できます。
補助金・助成金申請のポイント
補助金・助成金には交付の目的がありますので、それに沿った内容でなければ申請しても認めてもらえません。資金が欲しい気持ちが先に立つと、自身の伝えたいことばかり伝えてしまいがちですが、あくまで目的に沿った内容を伝えるべきです。補助金・助成金の目的は、公募要領などに明確に記載されています。
また、同様に審査内容についても明確な基準があります。これらの審査内容に関係のないものを長々と書いたり、審査内容で要求されているのに記載が抜けていたりすると、採択は難しくなってしまうと考えられます。
また、取り組むテーマについては、審査員にインパクトを与えるためにも、キャッチーな言葉を使うなど、伝える工夫も大切です。制度によっては、取り組みテーマがホームページ上で公表される場合もあります。
当然に申請内容に沿った取り組みでなければ資金の交付は受けられません。制度に事業内容を合わせるのではなく、事業内容に合った制度を探すようにしましょう。