起業マニュアル
今、なぜ起業する人が多いのか
企業の終身雇用制度の崩壊とともに「働く」ことに対する意識が変化し、働き方が多様化してきたことに起因し、その選択肢のひとつとして起業・ベンチャーが注目を集めています。また行政をはじめとしてさまざまな支援施策が打ち出され、新たな会社法により「1円から起業」が可能になったことで、よりハードルが低くなったことも大きな要因のひとつと考えられます。
他方、年金給付年齢の引き上げにともない、定年後も仕事をしたいと考える高齢者、リストラなどの雇用調整にともなう早期退職プログラムによる中高年層の退職者数に対し、再雇用が狭き門となっていることも否めません。また、各業界において合理化を目的とした大々的な再編が行われ、在籍した企業で培ってきた技術や技能が活かせる先を見つけるのは至難の業でもあります。
さらに「地球温暖化」をはじめとするさまざまな環境問題や「少子高齢化」、またインターネットの普及やインフラ整備が整ったことによる「情報化」、そして「安全・安心」「健康・美」に対する意識が高くなってきたことなどにより、新たなビジネスチャンスが出てきたことが大きいといえます。
終身雇用の崩壊
終身雇用制度そのものが崩壊しはじめ、それと同時に会社に対する帰属意識が薄らいできています。ただ帰属意識もポジティブな面であれば、所属する企業もよくでき、自分も高められます。
顕著に表れているのが、外資系企業です。外資系企業では短い間に人が入れ替わっているように感じられますが、帰属意識が希薄なのではなく、在職中は当然のことながらポジティブな帰属意識は持ち合わせているといえます。多くの日本企業のように「人を育てる」のではなく、「自らが学び、育とう」とする社員が必要とされ、重宝がられます。自らの成長とともに、次のステップへと階段を上っていく、それが社内での転属であったり、他社への転職、そして起業となります。
日本企業においても、ただ単に終身雇用が崩壊したのではなく、カンパニー制や社内ベンチャー制度などが導入され、社員の意識変革を求めようとしていると考えられます。
働き方が多様化(自分らしい働き方を求める)
高度成長期に働き蜂と称された日本のサラリーマンの働き方に、疑問を持った世代が世の中の主流を占めようとしています。仕事は仕事として責任をまっとうしながらも、オフの時間やライフスタイルをも充実させようとする世代です。家族との時間や趣味、学びなどの自分磨きに時間やお金を投じることが増えました。
他方、定年退職後に従来のように時間的に縛られる生活ではなく、しかしながら仕事もしていきたいと考える人が増えてきました。
そのような状況において起業やSOHOは適していると注目を集めています。
新社会法による起業のハードルの低さ
平成18年の春に施行された新会社法によって、会社設立のためのもろもろの要件が緩和されました。最低資本金の制約も撤廃され、1円の資本金(実際には最低でも100万円程度は必要となります)でも正式な株式会社が設立できるようになりました。また過去義務づけられていた、「取締役は3名以上、監査役の設置」の用件も、「取締役は1名以上、監査役は不設置」となり、より起業しやすい環境が整ったといえます。
さらに、新しい起業形態である「LLC(合同会社)、LLP(有限責任事業組合)」が認められたことにより、事業を複数の人たちで、なおかつ対等な立場で、立ち上げることが可能となりました。
行政や民間の支援策の充実
ここ数年、後継者問題や景気の落ち込み、安価な人件費を求めたアジアへの進出などにより廃業する企業が増え、開業率を上げるための行政の支援策が充実してきました。また、「トライアル発注制度」により、行政の入札制度にもベンチャーの枠が認められるようになりました。かさねて、ベンチャーキャピタルの増加や、銀行のベンチャー支援策などにより資金調達も容易になり、市場や販路拡大においても、行政や民間団体などによるマッチングのチャンスも年々増えてきました。
自己実現
何よりも大きいのが、仕事において自己実現を求める人が増えてきたことがあげられます。組織の方針に縛られることなく、アイデアを形にしたり、サービスを実行に移したりが自由にできることです。反面、自由には自己責任がついてまわることも忘れてはなりません。やりたい仕事をやりたい方法で実現することは可能ですが、すべての責任を自らが負わなければならないことも確かです。
コミュニティービジネスの出現
近年、「少子高齢化」や「地球環境問題」などがクローズアップされてきました。そのことにより、自らが居住する地域における、育児、介護、教育、環境などの分野で問題解決のための事業ニーズが生まれました。地域社会に密着し、利益追求や事業拡大だけに重きをおくのではない起業家に期待が集まりはじめています。
まとめ

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最終内容確認 2018年2月
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