起業マニュアル
起業したが、うまくいかない時に
ここでは、起業したが、うまくいかない時に、覚えておいてほしいことをまとめました。
しっかりと準備をして起業したが、売上が思うように上がらない。
試行錯誤を繰り返すうちに、手持ちの資金が減ってきてしまった。
そんな時にできる事、やるべき事はなにか。
無料で何度でも相談できる公的な窓口はどこにあるのか。
やむをえず廃業の手続きをする場合、どのように行えばよいのか。
そして、再チャレンジをするに当たり、どのような支援策があるのか。
最初から「うまくいかない時」を想定して起業される方は多くありません。
しかし、起業後に想定外の事態が発生することは決して稀なことではありません。
その時に何をすべきか、誰に相談すべきかを知っているかいないかで、その後の行動と将来は大きく変わります。起業前だからこそ、もしもの事態における対応策を押えておきましょう。
1.自分でできる事、やるべき事は何か
創業時における最大の課題は、「資金繰り、資金調達」と「顧客・販路の開拓」です。これらは、言い方を変えれば「うまくいかない要因」であり、もしもの事態において、解決すべき問題となります。
【参考:日本政策金融公庫総合研究所『新規開業実態調査』】
「資金繰り、資金調達」の取り組み
会社は、借金が返せなくなると倒産します。倒産を回避するためには、常に手元に十分なお金を確保しておくことが大切で、そのための手段が「資金繰り、資金調達」です。毎日の入金額と支出額をきちんと把握し、数か月後に必要になるお金を先んじて調達すること。これは会社を経営していく上での鉄則です。具体的な調達手段等について、以下の参考情報をご覧ください。
【参考:J-Net21経営ハンドブック『資金繰り改善のための資金調達手段』】
「顧客・販路の開拓」の取り組み
新たな製品等を生み出すノウハウと、それらを販売していくノウハウはまったく別のものです。たとえば、ブランドも実績もない創業時に、自らの製品をどのようにして売ってゆけば良いのか、お客様の立場から徹底的に考え抜き、競合製品にない独自性や魅力をPRしてゆくことが大切です。具体的な販売促進等の方法について、以下の参考情報をご覧ください。
【参考:J-Net21ビジネスQ&A『商品開発・市場開拓をしたい』】
事業見直し、撤退のポイント
「資金繰り・資金調達」や「顧客・販路の開拓」の取り組みがうまくいかない時に備え、あらかじめ事業の見直し、撤退のポイントを決めておくことも大切です。
(1)事業の見直しについて
お客様のニーズは常に変化しています。経営者として生き残るために、お客様の意識・行動の変化を見極め、事業を柔軟に見直してゆくことが重要です。ポイントは、「事業転換の早期決断」であり、平たく言えば「逃げ足のはやさ」が大切です。見直しのタイミングが遅れてしまい、債務(借金)を抱え、事業の継続が困難となってしまう方も少なくありません。もしもの時は、可能な限り早期に、事業の見直しを検討しましょう。
【参考:J-Net21ビジネスQ&A『ビジネスモデルを見直すには、どうすればよいですか?』】
(2)「見切り」のつけ方
事業を見直してもうまくいかない時には、見切りをつけることも大切です。しかし、いざ厳しい状況に直面すると、それまでに投じたお金や時間などが心理的な障壁となり、そう簡単に見切りをつけることができません。ポイントは、あらかじめ「見切りライン」を設定しておくことです。売上高や利益目標など、事前に「この数値を達成できなければ撤退する」という「見切りライン」を設定しておくことで、(それでも簡単なことではありませんが)見切りをつけやすくなります。
※見切りの際は、どうか一人で悩まず、無料の公的支援機関窓口にご相談ください。
【参考:内閣府『事業の再チャレンジ支援について』】
2.相談すべき相手は誰か
ここでは、起業したが、事業がうまくいかない時のための公的支援機関の代表的な相談窓口を紹介します。専門家が無料で何度でもご相談を承ります。是非ご活用ください。
【相談窓口1:よろず支援拠点】
よろず支援拠点は国が全国に設置している、無料の経営相談窓口です。多様な分野の専門家が在籍、起業がうまくいかない時のご相談も承ります。ひとりで悩まず、是非お気軽にご連絡ください。
【相談窓口2:商工会・商工会議所】
◆商工会一覧(全国各地の商工会WEBサーチ)
◆商工会議所一覧(商工会議所(都道府県連)名簿)
商工会・商工会議所では、金融・税務・経営・販促・労務などさまざまなご相談を承っています。まずは上記から最寄りの商工会・商工会議所を検索いただき、お問合せください。
【相談窓口3:その他地域の支援機関】
起業のお悩みに関してご相談いただける、各地公的機関等の情報をまとめています。創業前後のさまざまな課題についてアドバイスを得ることができます。
3.廃業・清算の流れ
廃業の流れ
起業者の代表的な形態である個人事業主、株式会社における廃業の流れについては、
以下の参考情報をご覧ください。
※廃業を決意する前に、是非一度公的支援窓口へご相談ください。
(1)個人事業主の場合
個人事業主を廃業する場合、営業終了日を決め、税務署と都道府県税事務所に
「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。
【参考:J-Net21経営ハンドブック『廃業の留意点と進め方』】
(2)株式会社の場合
会社の活動を終了させるときは、解散の登記と清算結了の登記が必要です。
【参考:J-Net21ビジネスQ&A『廃業するにはどうしたらよいですか?』】
4.再挑戦へ向けて
(1)再挑戦の現状
起業の再挑戦には、心理的な障壁だけでなく、資金調達の困難もあります。ただし、廃業・倒産経験者による再起業は、ノウハウの蓄積等により、「1度目の起業と比較して成功率が高い」という実態も存在します。
【参考:内閣府『事業の再チャレンジ支援について』】
(2)活用可能な公的支援施策
政府系金融機関である日本政策金融公庫等では、廃業歴のある起業家の再挑戦を支援する融資制度があります。詳しくは、最寄りの日本政策金融公庫窓口へお問い合わせください。
◆再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)
【参考:日本政策金融公庫『店舗のご案内』】
最終内容確認 2023年3月
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