起業マニュアル

社会起業家

「社会起業家」とは

昨今、注目されている「社会起業家」について、ご説明します。

最近、「社会起業家」という言葉を、さまざまなシーンでよく耳にすることがあります。 海外では、「ソーシャル・アントレプレナー」という言葉で表現されており、 その言葉の定義は、いろんな意味合いで使われているのが現状です。

「社会起業家」とは、いわゆるベンチャー企業から連想される「起業家」ではなく、 一般の民間企業のように営利を目的として事業活動をするものではありません。なんらかの形で、社会貢献を目的として活動する人々の総称として表現されています。

一方で、ここ最近の起業家の中には、社会貢献の志を持っている人も少なくありません。 大企業や中小企業を問わずに民間企業で働く人々においても、日頃の仕事を通して社会に貢献したいと思っている人も存在しています。 まさに、現代社会においては、営利を追求している民間企業においてこそ、 社会への貢献や社会的責任が、よりいっそう求められる時代になってきていると言えます。

また、「社会起業家」とは、単なる「ボランティア」や奉仕活動などの「慈善活動家」のように、国や行政等の寄付金や補助金に頼って活動するのではなく、持続成長する事業活動を行うことのできる人々であることが特徴と言えます。

これからの時代の「社会起業家」

「社会起業家」の活動領域は、医療・介護・福祉・環境・教育等の社会生活において、必要不可欠なサービス領域となっています。

このような領域において、これまで活発に活動してきたのが、いわゆる公益法人であったり、NPOなどの特定の利益を追求しない非営利組織でした。数年前より、このような非営利組織は、国や行政等から守られる団体から民営化への流れとなり、事業活動における継続的な収益確保がなされず、持続できずに継続が困難な状況に陥っている組織も少なくありません。

このような状況から判断すると、これまで営利を追求していると言われた起業家や民間企業こそが、今こそ「社会起業家」として活動していくことが求められているのではないかと想像できます。

このように、「社会起業家」とは、ただ単に起業家を意味するのではなく、一般企業に在籍しながら地域活性化に貢献しようとする人々、また公的機関や病院、福祉施設、学校等で、公的職員として在籍しながらも、社会活動において新しい価値をもたらすべく、人一倍社会に尽力しようとしている人々もいます。

まさに、これからの時代は、民間企業や公的機関に在籍していたとしても、 「社会起業家」として事業活動できるような環境整備がなされていくことと思います。

事業活動を行うための前提条件

「社会起業家」として事業活動を行うには、3つの前提条件が必要とされます。

条件1:社会に新しい価値を生み出す「創造力」が必要となります。
「創造力」とは、社会の人々が何を求めているのかといった、人としての欲求やニーズを汲み取り、その欲求やニーズに応えるための新しい価値を生み出す力を意味します。
日常生活において、人に配慮する気持ちや理解できる能力が必要となります。

条件2:事業を持続成長させるための「経営力」が必要となります。
ただ単に事業を起こすことは、お金がなくとも、アイデアがなくとも、比較的簡単に、誰にでもできてしまいますが、継続して成長させていくことは大変困難なことです。
その事業が社会の人々において、どれだけ必要とされ存在する価値があるのか、必要とする人々にとってその事業を持続成長させることができるのかが必要となります。

条件3:多くの支援者と共に実現に導く「共感力」が必要となります。
社会における新しい価値の創造とは、自分一人で実現するにはかなり難易度が高く、ほとんど実現可能性は低いと思われます。

しかしながら、同じ夢や志をもった人々が集まることで、また、支援してくれる人々との出会いよって、その実現の可能性が高まることは言うまでもありません。
そんな夢や志を支援してくれるパートナーや仲間達と共感し合う力が必要となります。

このような3つの前提条件を身に付けるためには、まず、自分自身が夢や志などの「目的」と「使命感」を明確にもつことが必要な条件となります。まさに、「人としての魅力」が、最低限に必要となってくるのではないでしょうか。

昨今の閉塞した社会においてこそ、「社会起業家」の出現が、ますます望まれています。
「社会起業家」として社会に関わることで、新しい生き方に出会うのかもしれません。

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最終内容確認 2018年2月