起業マニュアル
優位性の考え方
事業の優位性は、自分の考えているビジネスの中で「他社よりも優れた要素」を明確にすることです。多くの競合他社があるところで、自分の商品やサービスを選んでもらえるポイントとも言えます。事業の優位性がしっかり説明できれば、価格競争にも巻き込まれることも減り、独自の事業展開を行うことが可能になります。
優位性の考え方
優位性を考えるには、「自分の考えているビジネスの強み」と「競合他社のビジネス」を分析し、比較することが大切です。まずは、自社の強みや特徴をきちんと把握し、他社と差別化できそうな要素を探してみましょう。その上で、その要素が顧客にとってメリットや付加価値を与える要素になるかを考えます。顧客が自分の商品やサービスを購入する理由が説明できれば、優位性がしっかり考えられたことになります。
優位性のポイント
事業の優位性は、品揃え、短納期、小ロット対応、豊富な商品知識の接客など、ビジネスによってさまざまです。
他社がマネできないほどの優位性があることは理想ですが、「優位性がはっきりしない」、「創業時に優位性を考えるのは難しい」という人も、まずは自分の考えているビジネスの強みについて一度じっくり検討してみましょう。ここでは、優位性を考えるポイントを紹介します。
1.経験や特技を活かす
これまでの自身のキャリアで身につけた特技や強みを活かします。社会人であれば、働いていた経験のなかで、身につけた知識やスキルがあるはずです。例えば、競合他社が大量販売している商品で、特定分野の技術や商品知識を活かし、顧客一人ひとりに合わせたオーダーメイドの商品が提供できることは、優位性と言えます。
2.分野や範囲を絞る
自分の得意な分野や限られた範囲に絞って、ビジネスを展開する方法です。例えば、競合他社が幅広く商品を展開しているなかで、特定の分野だけは他社に負けない品揃えをするようなやり方です。ターゲットとする
顧客は限られますが、その特定分野では負けない優位性を作ることができます。
3.組み合わせる
単なる商品やサービスの販売では、競合他社と差別化できない場合、何かと組み合わせて優位性を作り出します。例えば、化粧品や健康食品等の商品に、専門性の高いカウンセリングを組み合わせ、丁寧できめ細かな接客サービスをウリにするような方法です。
優位性の具体例
優位性の具体例にはどのようなものがあるでしょうか。実際に優位性を確立し、高い業績を上げている中小企業の事例について確認してみましょう。
1.A社(製造業)「短納期と小ロット対応」
A社の優位性は、医療什器の壁面収納庫等のニッチな分野に特化し、設計から仕上げまでの一貫生産体制を敷いたことで、顧客の短納期・小ロット要請にも対応できることです。また、HPを通じて顧客のオーダーメイドにも対応し、同型の市場価格に比べて安価に提供できるという強みもあります。
2.B社(小売業)「商品を見る熟練の目利き」
食料品スーパーを複数店経営するB社の優位性は、毎朝社長が市場へ出向き、熟練の目利きを生かして仕入れる鮮魚や野菜です。大手小売店の進出により厳しい局面を迎えたこともありましたが、鮮度と味の違いが顧客を呼び戻し、地域で生産されたものを地域で消費する地産地消の拠点として生産者・消費者の双方から支持されています。
3.C社(卸売業)「鮮度管理の仕組み」
高級伊勢エビなど水産物の開発輸入・販売を手がけるC社の優位性は、美味しい水産物を厳選した上で、その品質管理を徹底し、美味しさを保ったまま食卓に提供するノウハウにあります。魚種・漁場の選択や冷凍のタイミング、輸送や保管の際の温度管理、解凍の技術など、最適なものを組み合わせる技術が、レストランや料亭から高い評価を得て、水産物の高級ブランドとして定着しています。