起業マニュアル

自身の棚卸し

自身の棚卸し

起業を思い立ったら、何を目的としてどのような事業を行うのか、その方向性を考え、見極めていく必要があります。その際、向き・不向き、得意・不得意など、客観的に自分の強みや特徴を把握しておくことで、起業の成功確率を高めることができます。
あまり深く考え過ぎると、最初の一歩が踏み出し難くなるので、期間を決めて棚卸しをするのがよいでしょう。

自らの棚卸し

棚卸しは、起業の動機、自分の強み・弱み、過去の経験、人脈、起業に必要な資金などを分析することです。起業は、ゼロからのスタートです。まずは、自らが持っている能力や資源を把握することが大切です。

1.なぜ起業をするのか?

起業に興味を持ったのには、必ず理由があるはずです。「やりたいことがある」「もっと稼ぎたい」「世の中の課題を解決したい」など、動機は人の数だけ存在します。社会的意義のある動機が良いと思われるかもしれませんが、大切なのは、自身の本当の動機を知ることです。
決して平坦な道のりだけではない起業に突き進むのに、動機が曖昧なままではいつか勢いを失ってしまいます。「自分はどうして起業したいのか?」自分の本心と向き合うと良いでしょう。

2.強み・弱み

過去の経験を分析することで、自分自身の強みと弱みを把握します。そうすると、強みをどう活かし弱みをどう補うのかが見えてきます。また、その延長で1人での開業が可能か、誰かとチームを組む必要があるかを判断する材料にもなります。
強みと弱みを把握するには、自己分析や性格分析など世の中に数多くある分析ツールを利用することも有効です。大切なのは、実際に自身と向き合う時間を設けることです。

また、今の自分だけでなく過去の自分に目を向けることも有効です。個人の特徴は、過去の経験で形作られています。
人生を振り返って「どの時期にどんな経験をしていたか」を時系列で考えていきます。例えば、学生時代、会社員時代のようにライフイベントごとの成功や失敗体験を書き出します。
そこから、自身の成長とともに、どのように価値観が変わったのか、昔から変わらない本質的な自身の特徴は何なのかを深堀していくと良いでしょう。

3.人脈

起業家にとって大切な財産となるのが人脈です。人との意外な縁が起業に結びつくことも少なくありません。
また、事業によっては一人ですぐに始めるのが困難なこともあります。例えば、あなたにITの知識が無い場合、ITサービスを作ろうと思ったら、自身で1からスキルを習得するか、すでにスキルを持っている人を仲間にする必要があります。

スムーズな起業のスタートを切るためには、普段から良好な人間関係を築くことが大切です。まずは、現在、どういう人脈を持っているか棚卸ししましょう。
ただし、肩書きではなく、個人として支援してもらえそうな人脈をあげてください。企業に属している場合、その企業で培った人脈は、企業の冠や肩書きゆえのモノであり、起業するとほとんど役立にたないことが多いためです。

また、家族がいる場合、家族が起業を応援してくれるかも重要な要素の一つです。起業の話題を家族の会話に持ち出し、起業を応援してくれそうかどうかを確認してみると良いでしょう。

4.資金

起業をしたい気持ちがあっても、資金が無ければその一歩を踏み出すことはできません。株式会社を設立する場合、手続きだけで、それなりの資金が必要となります。
自宅を事務所にするとしても、設立に関する印紙代や、電話の設置、名刺や会社案内の作成など、最低限必要な資金が発生します。

そして、事業を始めると、さらに大きな資金が必要となります。自ら出資可能な資金も含めて、出資、投資、貸しつけ、補助金などが受けられそうな機関や人を洗い出し、どの程度の規模ではじめられるかを検討しましょう。

資金の目処がつかない場合、まずは自身でお金を貯めながら、起業を目指すのも一つの手です。資金不足のまま起業し、起業してすぐに事業が続かなくなるリスクを抑えることにもつながります。