業種別開業ガイド
フランス料理店
- かつてはグルメブームにのって高級店に人気が集まったが、店舗数が増加したこととイタリア料理店に人気が移行したことなどから、フランス料理店を含むディナーレストランの売上高、利用客数、客単価は微増微減を繰り返している。正統なフランス料理が日本人の食生活になじみにくい上に、消費者の低価格志向から業種転換する店や同じフランス料理店でもカジュアルなブラッスリーやビストロに業態転換する店もある。
- 昭和の後半からオーナーシェフにより業態化がすすみ、懐石風フランス料理や家庭料理風フランス料理なども出店された。カジュアル化もみられる。
- オート・キュイジーヌ:ミシュランのような著名なガイドブックに、二つ星・三つ星という星つきで紹介される高級フレンチレストラン
- ビストロ:気軽なレストランの意味で、ワインと料理を組み合わせることでややカジュアル風な演出をする業態店
- ブラッスリー:大衆性の高い業態で、フランス版ビアレストランのこと
- サロン・ド・テ:軽食やお菓子(パティスリー)を提供するコーヒーショップ
- 利用者の間には「フランス料理イコール高級料理」という図式が定着しているので、料理とサービスに加えて、内・外装、インテリア、小物類にいたるまで専門性が要求される。さらに社交の場であり団らんの場であることを意識した演出が、選ばれる店になるためには必要となる。落ち着いた雰囲気のなかで個性的なメニューを提供するが、お客様に「フランスを満喫した」という満足感を与えるポイントとなる。
1.起業にあたって必要な手続き
●飲食店の開業にあたっては、営業許可を所轄保健所の食品衛生課に申請する。また、食品衛生法では、各店に1人、食品衛生責任者を置くことが義務づけられている。
食品衛生責任者となるには、調理師、栄養士、製菓衛生師等の資格が必要である。資格者がいない場合、保健所が実施する食品衛生責任者のための講習会を受講すれば、資格を取得できる。
●一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをする。
2. 起業にあたっての留意点・準備
- 売上高アップのためには商品単価を抑えつつも顧客単価を上げることが求められる。そのためにはオーナーがお客様に接近することが重要である。接客サービスや商品説明等を介して、お客様とのホスピタリティを高めることがリピートに通じる。
- 低い粗利益率で利益を確保するためには、特に人件費の効率的な活用がポイントとなる。従業員教育を十分に実施して商品知識とサービス力の充実を図る。厨房からシェフが店内の様子をみながら従業員に与える指示が徹底するよう、従業員の個人能力を高める。
- 経営のポイント
- シェフやオーナーのコンセプトがお客様に十分伝わるように、店舗施設や商品・サービスに反映させる。さらに、幅広い顧客層を狙わないで、自店のコンセプトを認めてくれた顧客層に絞り込むことが永年にわたって信頼を得るためには大切である。
- 生鮮食品の仕入には市場から購入する以外に、契約農家や精肉業者から直接購入することが効果的。調味料は輸入品が多いため、大手の食品問屋を利用する。ワインやチーズ等には当店ならではの商品を用意する。
- IT投資により地域情報を収集して、ホームパーティやウエディングパーティへのケータリングサービスを実施する。また、ワインやチーズ等は世界各国の特産品を購入するために、インターネットを活用する。
3. 必要資金例
繁華街への出店。業態としてはフレンチ・ビストロ。
規模は20坪、24席で開業するケース(家賃2万円/坪×20坪)
(単位:千円)

4. ビジネスプラン策定例(モデル収支例)
●初年度売上計画例(客席数24席)

●モデル収支例
人件費:社員2名、給与25万円/月額、パート2名、時給900円×12時間/日
初期投資回収 4年度
(単位:千円)

- ※必要資金、売上計画、シミュレーションの数値などにつきましては出店状況によって異なります。 また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。
最終内容確認日2014年2月