業種別開業ガイド

オーガニックレストラン

  • オーガニックレストランとは、化学肥料や農薬を使わない有機栽培で作られた食材を使用した料理を提供するレストランであり、自然食レストランとも呼ばれる。健康志向を背景に、とくに女性から強い関心が向けられている。
  • 市場規模
    2017年1月にWizBiz株式会社が実施した調査によると、オーガニックレストランの利用率は、総人口対比で約6.6%(約837万人に相当)であり、平均的な利用者は、年に13回程度利用し、1回の利用に3,192円程度を使っている。このことから、現在の市場規模は、3,400億円前後であろうと考えられる。
    また、同調査において、今後「ぜひ利用したい」「どちらかといえば利用したい」と回答した人の割合は、総人口対比で約19.4%(約2,456万人に相当)であった。このことから、潜在的な需要までをも合わせると、市場規模は、約1兆円程度にまで拡大する可能性を秘めている。

1.起業にあたって必要な手続き

飲食店を開業するには、「飲食店営業」の申請を行ない、許可を得る必要がある。

飲食店開業に必要な申請書類と申請先を説明した表

食品衛生法では、各店に1人、食品衛生責任者を置くことが義務づけられている。食品衛生責任者には、調理師、栄養士、製菓衛生師いずれかの資格を持つ者が必要である。資格者がいない場合は、地域の保健所が実施する食品衛生責任者のための講習を受講し、テストに合格しなければならない。なお、食品衛生責任者の資格は、各都道府県内のみ有効となっている。
併せて、消防署への防火管理者の届出も行う。

2. 起業にあたっての留意点・準備

オーガニックレストランでは、素材が重視されるため、素材に関しては、とくにこだわることが望ましい。
農林水産省の「有機農産物の日本農林規格(有機JAS規格)」では、有機農産物は、次のように定義されている。
「種播き又は植え付け前2年以上、禁止されている農薬や化学肥料を使用していない田畑で生産され、遺伝子組換え由来の種苗を使用せず、原則、農薬・化学肥料を使用しない等、地域環境への負担をできる限り軽減した方法で栽培したもの」
上記の条件を満たす農産物は、「有機〇〇」または「オーガニック〇〇」として、有機農産物であることを名乗ることができる。
そして、農林水産省は、有機農産物を生産・取扱っている事業者を、有機JAS認定事業者として公表している。自ら生産農家でない場合は、これらの事業者から有機農産物を仕入れるとよい。

料理に使用する素材に関しては、農林水産省が示す「外食における原産地表示に関するガイドライン」に従い、積極的に素材の原産地を表示することが望ましい。
<表示例>
「本店舗で使用している野菜は、○○県○○市の契約農家にて、化学肥料や農薬を使わず生産されたものです」

本表示に関しては、ウィンドーサンプル、メニューブック、卓上メニュー、ホームページなど多くの情報提供の手段がある。詳細な情報を提供し、消費者の原材料に対する関心を高めるとともに、信頼感を得る上でも有効であると言える。

販売促進に関しては、自社ホームページでのPRのほか、飲食店紹介サイトへの登録も効果的である。

3. 必要資金例

以下は、駅前20坪のオーガニックレストランを開業する場合の必要資金例である。

※土地・建物等の物件取得費は含まない。

4. ビジネスプラン策定例(モデル収支例)

以下は、上記の条件の下でオーガニックレストランを開業する場合のモデル収支例である。

1)売上計画例

2)損益計算のシミュレーション

  • 初期投資一括計上分は、開業費の金額
  • 減価償却費は、設備工事費・什器備品費の額を5年で償却したもの
  • 必要資金、売上計画、シミュレーションの数値は、状況によって異なります。
    また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

最終内容確認2013年6月

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