起業マニュアル

小売業の魅力と大変さ

小売業の概要

小売業には飲食料品小売業、書籍・文具小売業や衣服・身の回り品小売業、医薬品・化粧品小売業など、さまざまな業種があります。 
また、実店舗を持たず、テレビやインターネットなどで広告を行い、個人からの注文を受けて販売する無店舗小売業もあります。

 

ここでは、自らのこだわりを顧客と共有することのできる小売業の魅力や、大手との競争を回避して生き残るためのポイントを紹介します。

小売業の魅力

小売業で起業することの魅力は、自身のこだわりを追求した「これぞ私のお店」を実現できることです。内外装や品揃え、接客に徹底してこだわり、「買い物」という楽しいひと時を演出することができる。自らの目利きで選んだ商品を提供することで、顧客のより豊かな生活に貢献することができる。そして、それらすべてのプロセスを顧客と共有し、楽しむことができるといったことでしょう。

小売業を立ち上げた起業家の先輩からも「顧客が楽しそうに買い物をしている姿を見るのが幸せ」「顧客がSNSなどで商品を紹介してくれると、価値観が共有できたようで嬉しい」「自分のお店に通ってくれる顧客は家族のように感じる」という声が聞かれます。

ネット販売が浸透しても、実店舗での買い物の楽しさが変わることはありません。顧客からのダイレクトなフィードバックを日々の経営に生かすことで、来店客数や売上といった目に見える成果に繋がりやすく、改善活動にも張り合いがでる業種と言えます。

小売業の大変さ

小売業の大変さは、「付加価値の高い、他店では得られない何か」を「顧客に提供し続ける」ことです。
基本的に、同程度の商品であれば、顧客は大手小売店から購入します。大手小売店には信頼と実績、ブランド力があるためです。

また、大手小売店は、豊富な経営資源を生かした大量仕入を行うことで仕入単価を抑制し、販売価格を低く設定することができます。経営資源が相対的に乏しい小規模の小売店は、大手と同じ土俵(価格競争)で勝負することはできません。商品の品質や希少性を追求し、付加価値の高い、他店では得られない何かを顧客に提供し続けることが、小売業としての生き残りのカギになります。

あるペット用品店の経営者は、付加価値の高い、他店では得られない何かを顧客に提供するために、毎年一人で海外の展示会へ出かけて現地のメーカーや職人と交渉し、オリジナリティあふれる豊かな品揃えを実現しています。自分の目利きで判断し、自ら輸入した商品が、他店では得られない魅力として顧客から支持され、売上高の増進に繋がっているのです。

小売店は「努力なくして繁盛なし」と言われます。こうした絶え間ない努力が顧客に支持されることで、地域に根ざした、長く愛される小売店となるのです。