業種別開業ガイド

資格学校

  • 平成12年の「規制行政に関する調査-資格制度等-結果に基づく勧告」によれば、国が法令などに基づき設けている資格は280資格、民間技能審査事業認定制度は26制度、173事業を認定資格としている。資格の職種や等級を考慮すると、その数は国家資格をはじめとする公的資格だけでも1,500種類以上ある。行政改革や規制緩和、IT革命により、資格試験の流れは大きく様変わりしている。
  • キャリアアップを図りたいとする社会人、独立志向や再就職を少しでも有利にするために資格を取得する人は、今後も増加するとみられる。また、資格取得を援助する制度が設けられている企業も多い。このような背景から、資格取得のためのノウハウを提供するビジネスは今後も発展すると予測される。
  • しかし、一定の市場規模を有する資格試験に対しては、すでに有力企業が参入している。民間の資格学校が参入でき、かつ一定の市場規模を有するものは経営関係と情報処理関係の資格、語学関係など数十程度と考えられる。

1.起業にあたって必要な手続き

一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをする。

準学校法人(私立学校法64条4項に基づいて専修学校や各種学校を設立した法人)を設立する場合、設立や学校設置の認可申請は、都道府県知事に対して行なう。文部科学省の省令あるいは通達に基づいて各都道府県が独自に準学校法人設立の認可基準や、専修学校・各種学校設置認可基準を定めているため、設立に際しては、あらかじめ当該都道府県の認可基準を知っておく必要がある。

2.起業にあたっての留意点・準備

資格学校は過当競争の時代にあり、高い合格率の維持やこまやかな情報の提供など、他社との差別化が必要である。高い合格率を維持するためには出題傾向の分析や予想問題の提供、模擬試験の添削指導や質問票への回答指導といった丁寧な指導が必要である。また、個人のキャリアアップのためのカリキュラムを通し、資格取得にアプローチすることが、ビジネスの拡大のためには大切といえる。

受講生の募集は、個人対象と法人対象がある。個人対象としては新聞や雑誌への広告、ダイレクトメールによる募集、法人は企業の人事教育窓口への営業活動による方法をとる。

教育方法は、教室での講座からビデオ講座、衛星講座、通信講座、パソコンやインターネット環境を活用した講座の出現など多様化している。

資格にはブームがあるため、個々の資格の伸張に対応した取組みが必要である。また、教育内容や提供情報、企業や講師に対する評判にも留意しなければならない。

全日制の通学教育を受けるのが困難な社会人には、夜間や休日などの限られた時間内での受験のポイントを押さえた教育が望まれる。

収益を向上させるポイントは、時代に即した指導方針やカリキュラムの改善、優秀な講師の獲得と教材作成、インターネットや情報機器を活用した講座の開発などである。

3.必要資金例

ビジネス街に20坪の資格学校を開業する場合の必要資金例
(単位:千円)

創業に必要な資金項目と金額を例示した表

4.ビジネスプラン策定例

●初年度売上計画例(20坪の教室/経営コース12カ月、情報・語学コース6カ月)
(単位:千円)

年間売上計画を例示した表

●モデル収支例
(単位:千円)

初年度から5年目までの損益計画を例示した表

●初期投資回収  7年度

* 売上計画やシミュレーション数値などにつきましては、出店状況によって異なります。また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。

最終内容確認日2014年2月

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