業種別開業ガイド
ダンス教室
- 社交ダンスは中高年層を中心に人気が定着してきており、全国の公民館や体育館、カルチャースクールなどでは、ダンス教室が定番となっている。心身の健康づくりのための「生涯スポーツ」としても注目されており、定年退職後に夫婦でダンスを始める例もみられる。
- 教室・プロの数とも、社交ダンスブーム以来急増している。一方、社交ダンス愛好者は、百貨店等のカルチャースクールへ通う初心者から、選手権への出場を目指すベテランまで、習熟度ごとに幅広い層に浸透している。
1.起業にあたっての許認可
ダンス教室は社交ダンス場と同じく、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」いわゆる「風営法」2条1項4号の「ダンスホールその他設備を設けて客にダンスをさせる営業」とみなされる。
そのため、ダンス教室の所在地を管轄する警察署長を通じて、都道府県公安委員会に届け出書を提出し、その営業所ごとに許可を受けなければならない。
ダンス教員に関しても、風営法に基づき、(社)全日本ダンス協会連合会の認定を受けるという規定がある。認定を受けた後は、教室内にダンス教師資格者登録の提示をする。
教室は、建築基準法による風俗営業の立地規制が設けられており、用途地域によってはダンス教室を開業できないところがある。
また、保護施設(病院、学校等)が近くにある場合は、ダンス場を開業することができない。これらの対象施設からの距離(※)は、各都道府県によって異なるため、事前に市役所等で確認しておくことが必要である。
※東京都の例
用途地域が商業地域の場合、保護対象施設から50メートル以内(施設によっては、20メートル以内)には社交ダンス場を建築できない
用途地域が近隣商業地域の場合、保護対象施設から100メートル以内(施設によっては、50メートル以内)には社交ダンス場を建築できない
教授をするため以外、客にダンスをさせてはならないこととされている(酒類を提供したり、ダンス教室の講義以外のことを行なってはならない)
教室建築基準については上記の法律のほか、風営法27条の風俗関連営業の規制により、
- ダンスができるスペースが一室66平方メートル以上ある
- 善良な風俗や正常な風俗環境を害する恐れのある写真等の設備は設けない
- ダンス場の出入り口には施錠を設けない
- ダンス場の照度は10ルクス以下にならないようにする
- ダンス場の内部に見通しを妨げる設備を設けない
- 騒音振動についての規制
等が設けられている。このほかに配慮すべき点としては、
- 照明、音響設備の充実
- 更衣室の広さ
- 入り口の入りやすさ、見通しがよいこと
等がある。
2.起業にあたっての留意点
社交ダンスの参加者は、50代の女性が多く、男性については50代以上ではある程度参加者が存在するものの、40代以下はほとんど参加していない。こうしたことから、社交ダンス教室としてはいかに愛好者の年代を広げるかが課題であり、40代以下の幅広い年代が参加しやすい教室にしていくことが成功のポイントといえる。
生徒確保策を考えるにあたり、ベテラン層(ダンス歴が長く趣味で踊りたい、あるいは競技会等へ参加したいという層)と、初心者層(社交ダンスをまったく知らない初心者)の2つの層を確保する必要がある。ベテラン層にはダンスパーティーやコンテストの開催等を、初心者層には、愛好者同士で教えあう「サークル」のような場の雰囲気を作ることが大切である。
社交ダンス教室では、一般的に入会金のほか、1回のレッスンごとにチケットを受け取るチケット制をとっているところが多い。
(例)
入会金・・・・・・・・・50,000円
10枚チケット・・・・60,000円
30枚チケット・・・150,000円
100枚チケット・・450,000円
- ※1レッスン(30分)ごとに1枚程度(難易度やプライベートレッスン、グループレッスン等の区別による)を受け取る。
最終内容確認日2014年2月