トピックス・コラム

お昼寝サービス ~のびゆくシェアリングエコノミーのひとつの形~

2020年 4月 20日

最近、お昼寝してますか?“お昼寝”と言っても昼の時間帯に限らず、仕事の休憩時間中に15~30分の仮眠をとることです。例えば、オフィスで働く方々は、休憩中に座ったまま机に突っ伏してみたり、椅子を器用に並べて寝そべってみたり、様々な工夫をして仮眠をとられている方も多いのではないでしょうか。

オフィスの中だけではなく、外にも“お昼寝”できる場所があります。その形態は様々で、例えば、従来、宿泊を目的としていた「カプセルホテル」で日中に仮眠できるサービスや、ランチの後に“お昼寝”できる仮眠室を併設した「睡眠カフェ」。そして、マッサージなどを目的とした「リラクゼーションサロン」で仮眠もできる、といったサービスを聞いたことがある方も多いと思います。

このように、本業のピークタイムを除いた時間帯に別の形態として、「睡眠」をテーマとしたサービスが広がりつつあります。そのニーズが高まっている背景と、今後も広がりを見せるのかどうか、について予測してみます。

まず、背景の一端として考えられるのは、2017年の流行語大賞に「睡眠負債」がランクインしたことです。これを機に、慢性的な睡眠不足が健康被害を招く一因になることが日本でも広く認識され、「睡眠」をテーマとしたサービスについて耳にするようになりました。世界最大のシンクタンクである経済協力開発機構(OECD)が2019年に発表した調査においては、加盟国など33か国のうち、日本人の睡眠時間が最も短いことが分かっています。

そこで、“お昼寝”ニーズを抱える睡眠不足気味の日本人はどのくらいいるのか、国の調査を見てみると、厚生労働省の調査(※1)では、「睡眠の質の状況」についての問いに対し、1か月間に週3回以上「日中、眠気を感じた」と答えた人の割合が、37.2%もいることがわかっています。<図1>

<図1>

また、厚生労働省の別の調査(※2)によると「睡眠で休養が十分とれていない者」の割合が平成21年は19.4%に対し、平成26年に21.7%、平成29年には23.4%に増加しており、「睡眠」をテーマとしたサービスのニーズは高まっていると言えます。

次に、このサービスの今後の広がりを予測するにあたり、現在の経済的な規模感を掴む必要があります。しかしながら、その業態の多様性から全容を掴むことは困難で、また、それぞれの市場規模をそのまま対象にすることも適切ではないと言えます。

そこで、これらのサービスが、本業のピークタイム以外に場所や施設などを活用しているという共通項を軸に、有形無形にかかわらず遊休資産を賃借又は売買してシェアするビジネスモデルとして、近年、存在感を増しているシェアリングエコノミーの観点から、経済的な規模を推測してみます。

「平成30年版情報通信白書」(※3)によると、「サービスを開始したシェアリングサービスの数の推移」として、消費者間の取引(CtoC)に絞られた推移ではあるものの、2012年から2017年にかけて総計が大きく増加していることが示されており、これを見ると、シェアリングエコノミー自体が、国内における認知度を高め、普及が進んでいることが分かります。<図2>

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また、シェアリングエコノミーを大きく5分類「空間」「移動」「モノ」「スキル」「お金」に分けた場合、「睡眠」できる場所を提供するサービスは施設の利用を伴うため、シェアリングサービスとしては「空間」に分類されます。<図3>

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そうした場合、「空間」のシェアリングサービスの経済的な規模はどのくらいかと言うと、「シェアリング・エコノミー等新分野の経済活動の計測に関する調査研究」報告書概要(内閣府経済社会総合研究所)(※4)によると、上記<図3>に定義されている「空間」のシェアリングサービスの生産額は、1,400億円~1,800億円です。また、シェアリングサービス全体の生産額は、4,700億円~5,250億円となっており、「平成30年版情報通信白書」によると、今後も普及していくと考えられています。

言うまでも無く、「睡眠」は心身の健康を保つために必要で、仕事や勉強の能率を上げ、生産性を向上させる上で大切な休養です。「睡眠」できる場所を提供するサービスは、「空間」のシェアリングサービスの一部として、社会的背景にある日本人の睡眠不足というニーズを捉え、今後も拡大を続ける市場と言えます。

本レポートは、情報提供を目的としており、作成日時点で信頼できると思われる情報に基づいて作成しているため、情報の正確性・完全性を保証するものではありません。

写真はイメージです。(提供元: 別府温泉 かんなわ ゆの香 かぼす様)