第161回中小企業景況調査(2020年7-9月期)のポイント
2020年 11月 06日
中小企業の業況感は一転して持ち直しの動き
※業況判断DI:前期(2020年4‐6月期)と比べて、【好転】、【不変】、【悪化】の3択で質問し、【好転】割合から【悪化】割合を差し引きし、季節調整を行った値。
中小企業の業況判断DIは、全産業で▲34.1(前期より30.0ポイント増)、製造業で▲40.8(前期より25.1ポイント増)、非製造業で▲32.1(前期より31.4ポイント増)となった。いずれの産業も過去最大の下げ幅となった前期から一転して持ち直しの動きとなった。【報告書P.12 1‐(1)全産業より】
従業員数の過不足感は製造業で過剰感が弱まり非製造業で不足感が強まった
※上記DI:今期の水準について、【過剰】、【適正】、【不足】の3択で質問し、【過剰】割合から【適正】割合を差し引きした値。
中小企業の従業員数過不足DIは、前期、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け急激に人手不足感が弱まった一方、今期は、製造業で5.6ポイント減と過剰感が弱まり、非製造業で5.4ポイント減と不足感が強まった。【報告書P.15 9.従業員数過不足DIより】
過去最大の落ち込みの反動による過去最大の上げ幅
全産業の業況判断DIにおいて、過去最大の下げ幅となった前期は、下げ幅が大きい順に「飲食店」「宿泊業」「食料品」となり、過去最大の上げ幅となった今期においても、上げ幅が大きい順に、同じく「飲食店」「宿泊業」「食料品」となった。
それぞれの自由回答には共通したワードが多くみられることから、この3業種は関連性が高く、業況においても互いに強く影響し合うことが分かる
【例】
土産品 イベント 帰省 観光 野菜高騰 キャンペーン 宴会 団体 商品券 災害 近隣 ネット販売 テイクアウト 自粛
新たな取り組みへの動きがみられる
コロナ禍において事業を継続するにあたり、新たな需要に対応するための工夫、新たなサービスの創出、事業転換を検討する姿がみられる。(自由回答より)
【製造業】
◆新型コロナウイルスの影響により需要が停滞している。新たなビジネスモデルへの転換を視野に入れる必要がある。
◆コロナの影響が大きく、新しい商品(製品)開発が急務と思われる。また、同業他社との連携も必要になってくるだろう。
◆屋内イベントが開催できないことや観光客の激減による売上減が続いており、年内はこのような状況が続くことが見込まれる。Web上での販売等、新たな非接触型の物販チャネルが必要になってきている。
◆コロナ禍が広がり経済に影響し、収益を圧追する中で、新しい事業スタイルへのチャレンジ・営業戦略が重要。
【小売業】
◆現状では、既存の販売ルートだけの販売だけでは売上が半減する可能性があり、早急に新たな販売ルートを開拓していかねばならない。現在考えられる全ての方法を実行していくしかないと考えている。
【サービス業】
◆世の中の状況が激変し、それに伴い新たな事業計画も生まれてきたので、実現化することでこれまでにない価値を提供できる楽しみ等、スタッフ共々モチベーションが上がっております。
◆コロナの影響により、事業転換のための計画を策定中である。
【中小企業景況調査の自由回答(フリーコメント)について】
項目を選択する方式ではなく、業況判断の背景についての感想や意見を自由に記入する方式であることから、回答者自身の言葉には、各企業が抱える課題が表れている。
今期の回答数は、過去最多となった前期の5,038件に次ぐ、4,541件となり、景況感に対して強い関心が寄せられた。
- 調査時期 2020年9月1日時点
- 自由回答数 4,541件
(参考:2020年4-6月期 緊急事態宣言(宣言前、解除後含む) 回答数 5,038件
2020年1-3月期 新型コロナウイルス感染症拡大 直後 回答数 4,073件
2011年4-6月期 東日本大震災 直後 回答数 3,856件)
- お問い合わせ先
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中小機構 企画部調査課
担当 山崎、谷井、大竹
TEL 03-5470-1521