ビジネスQ&A

ISO9000シリーズを取得したいが、取得費用を補助する制度はありませんか?

当社は電気機械部品製造業で、大手電機メーカーの下請企業です。これまで短納期でも確実に製品を納入し、メーカーからの信頼も厚いです。ところが最近、受注先のメーカーからISO9000シリーズの取得を要望されました。ISO9000シリーズを取得しないと将来的に取引に影響するので、取得を決断しましたが、ISO取得費用は当社にとっては結構な負担です。そこで質問ですが、国などでISO取得費用の補助制度はないでしょうか?

回答

国レベルにおけるISO取得費用の補助制度は存在しません。ただし、地方公共団体単独の補助制度は存在します。まず、所在地の都道府県と市町村にたずねてみてください。また、地元の中小企業支援センターから情報を得るのも一つの手段です。

ISOの認証を得るためには審査登録機関の審査料をはじめ、コンサルタントの支援を仰ぐとそのコンサルタント料など、企業にとって多額な費用負担があります。ただし、経済の国際化が進み、ISOの認証取得が企業の信頼性をはかるものとして重要な意味をもつようになってきています。とくに、ISO9000シリーズの認証取得は、その企業が第三者機関から「品質保証」されたことを意味するもので、大手メーカーが下請企業に対してISO9000シリーズを取引継続の条件とするケースが増えてきています。また、公共事業入札の際にISO認証企業が優遇されるなど、企業にとってISOが必要という状況になってきていると言えます。

では、具体的にISO9000シリーズをはじめとするISO取得費用を補助する中小企業施策があるかどうかですが、取得費用そのものを補助する制度は国の施策ではありません。ただし、地方自治体においてISO取得費用を補助する制度がある場合もあります。

そこで、次の手順で調べてみてください。

  1. 本社所在地もしくは工場所在地の都道府県の商工関係部門に電話する。
  2. 前記I.と同様に、本社所在地もしくは工場所在地の市町村の商工関係部門に電話する。

もちろん、インターネットなどで調べるのもよいと思いますが、ネットにはない情報が入る可能性もありますので、なるべくなら直接電話されることをお勧めします。

また、お近くの中小企業支援センターに尋ねてみるのも一つの手です。地域のさまざまな施策情報が中小企業支援センターに集まっていますので、有益な情報が手に入る可能性があります。また、都道府県や市町村の商工関係部門に電話する前の下調べとして、情報を得るメリットがあります。

なお、補助金の支給基準ですが、次の条件が必要な場合が多いようです。

  1. 事業所の所在地が補助制度を行っている地方公共団体の地域内にあること
  2. 前記I.の地域内で1年以上事業を行っていること
  3. 税金を滞納していないこと
  4. 中小企業基本法に定める中小企業者であること

ただし、補助金にすべてを頼ろうとするのは危険です。まず、おおよそ補助率は必要経費の2/3から1/2で、補助金の上限は50万から100万円というところが多いです。また、補助金は税金がもとになっていますので、さまざまな書類の作成や保存などの義務が生じることにご留意ください。よって、自己資金と補助金で取得費用を調達できないときは、別の資金調達方法を考えなくてはいけません。

そこで、活用できるのが地方公共団体で行っている制度融資です。融資ですので、返済の必要がありますが、低利で必要資金を調達できます。ただし、融資である以上、審査がありますので、希望額が融資されないこともあり得ることにご留意ください。

以上、ISO取得費用の支援制度について説明しましたが、地方公共団体や地域内の中小企業支援センター、もしくは地元の商工会・商工会議所などが独自で支援制度を設けていることもあるので気軽に相談してみてください。まずは、前述の中小企業支援センターにお問い合わせされるのがよろしいかと思います。

回答者

中小企業診断士 七田 亘

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