売り方に関する理由 <商品知識・接客・お得なサービス・広告>
価格に関する理由 <リーズナブル・高級>
どの理由でお店を選ぶかはお客さまによりさまざまですが、お客さまは、自分にとっての都合のよさ、すなわち「便益」でお店を選びます。
だから、これら「便益」が、お店の「価値」であり、お客さまに、「他店とくらべ、他店以上に、これらの「価値」を提供すること」が「差別化の本質」となります。
しかしながら、お客さまの価値に対する考え方(価値観)は千差万別です。価格を優先するお客さまもいれば、品質にこだわるお客さま、接客にこだわるお客さまもいます。すべてのお客さまに満足していただくことはなかなか難しいことです。
そこで、このお店の経営者に、お店を経営するうえで一番大切にしていることは何か、言い換えればどうしてもゆずれない点、つまり、お店にとっての「こだわり」は何かを再確認してもらいました。
なぜならば、「商売の原点」は「自分と同じ価値観を持ったお客さまを集めること」だからです。 そしてこのこだわりが、実はお店にとっての強みになり、この強みを磨くことでより一層他店との差別化が可能となるからです。
下町にある小さな中華料理店の看板メニューは餃子ですが、一切作り置きをしないのがこのお店のこだわりです。あらかじめ作り置きしておいたほうが効率は良いのですが、美味しい餃子を食べてもらうために、注文をいただいてから餃子の皮に具材を入れ焼き始めるのです。昼時はこの餃子を食べに来るお客さまで満員です。 わずか10坪ほどの小さなお店だからできることです。
きもの問屋の目利きノウハウを生かし、家庭のたんすに眠っていた着物を適正値で買い取り、きれいに洗濯した着物を破格値で販売するきものリサイクルショップは、「もっと着物を着てもらいたい」「たんすに眠っている着物を眠らせたくない」というこだわりと着物の価値を見る眼力による差別化で成功しました。
このように、「こだわり」「自社の強み」を生かすことは、差別化につながります。
今回ご相談いただいたお店は、40代から70代のご婦人の外出着と関連小物を扱うお店。 経営者にはシルエットや着心地を大切にし、お客さまにぴったり合う着こなしをアドバイスしたいというこだわりがあります。
そこで、経営者の強みやこだわり、主なお客さまが中年の婦人であることを考え、具体的に次のアドバイスをしました。
(1)商品に関する差別化(品揃えの幅による差別化)
パンツなどボトムのサイズはすべてのサイズを切らさず在庫する。 ご婦人は中年になるとウエストサイズが大きくなる方が増えます。 ぴったりサイズは着心地も良くシルエットも綺麗です。在庫が増えるリスクにもなりますが、大きな差別化になります。
(2)売り方による差別化1(顧客へのアドバイスによる差別化)
経営者のセンスの良さを生かし、お客さまの良きファッションアドバイザーになる。 仕入した商品はすべて試着し、着心地やシルエットをあらかじめ確認し適切な着こなしのアドバイスをすることや、お客さまの持っている洋服とのコーディネイト提案、着回しするための便利なアイテムを提案する。
(3)売り方による差別化2 (広告による差別化)
店頭チラシで自己PRを積極的に行う。 お客さまは店員が好きという理由でお店に行きます。逆に言えば嫌いな人がお店にいると絶対に行きません。好きになってもらうためには自分はどのような人なのかを知ってもらうことです。出身地、趣味、好きな食べ物、好きな服、最近感じたことなど日記風にまとめ、最初は月に一、二回程度発行し店頭に置くことにしました。
たしかに、他店を見学し勉強することも大切です。ですが、他店のことを気にしすぎるあまり、自店の長所がおろそかになるのでは本末転倒です。差別化の近道は、自店の長所を伸ばすこと。こだわりを再認識し、自店の強みを磨いて、お客さまの来店頻度を向上させていきましょう。