外部環境と内部環境を、強み(S)、弱み(W)、機会(O)、脅威(T)に分けて分析することを「SWOT分析」といい、環境分析ではよく用いられている手法です。実際にSWOT分析を行ってみると、弱みや脅威は比較的良く見つかる一方で、強みはなかなか見つからないということがあります。経営者や従業員は日々の業務の中で、自社の弱みには目が行くものの、自社の強みについては気がつかなかったり、誤解していたりします。
ここで、SWOT分析を行う目的を考えてみます。SWOT分析は企業の経営戦略を策定する上で頻繁に用いられており、今回の相談でも事業計画を作成する上で行うということでした。
戦略を策定する以上は自社の「強み」の部分から生み出されていくわけですから、SWOT分析を行う際には強みをどれだけ発掘できるかが特に重要となるのです。戦略の核を形づくる「強み」が、経営者や従業員の一方的な思い込みだったということでは、有効な戦略を導き出すことは出来ません。そのようなことにならないよう、さまざまな角度から自社を分析し、自社の強みを見つけていく必要があります。
【取引先にヒアリングを行う】
自社の強みを見つける上では、自社の取引先の率直な意見を聞くことが効果的です。取引先の中でも、とくに顧客である卸先の企業は自社の商品やサービスを直接利用していることから、特に重要なヒアリング対象となります。自社の商品やサービスを利用している理由はなにかということを、聞き出してみましょう。
また卸先以外に仕入先にもヒアリングを行いましょう。特に、仕入先企業はさまざまな卸売業者と取引を持っていることから、取引のある企業と比較した上で、どのような特色があるかという情報を聞き出すことができる可能性があります。
【競合他社との比較を行う】
卸先や仕入先といった取引先は、取引を行う上で競合他社との比較を行い、自社にとって有利な取引を行える会社を常に探しています。そのため、自社の強みを見つけるうえでは、競合他社と自社との比較を行うことが効果的です。
競合他社との比較を行う際には、自社の提供する商品・サービスといった面に関する社外の人間が比較的容易に気づく「外面的な強み」と、内部管理体制やコスト体質といった社外からは見えにくい「内面的な強み」のそれぞれについて検討しましょう。外面的な強みは他社との差別化を図りやすい一方で、内面的な強みは外面的な強みを生み出す原動力となります。
外面的な強みを見つけるためには、競合他社の商品を購入し、自社の取り扱っている商品と比較してみたり、可能であれば競合他社のサービスを利用して、自社のサービスと比較してみたりといったように、比較が容易であるという特性を利用して、強みを見つけてみましょう。
【従業員にヒアリングを行う】
従業員は、経営者とは違った視点から自社を見ています。現場でのさまざまな業務を通して、経営者の知らない情報を持っていることも少なくありません。また、経営者が思っている自社の姿と、従業員が思っている自社の姿は乖離があるものです。そういった実態を把握するためにも、従業員へのヒアリングが有効です。
以上のように、自社の強みを見つける上では、経営者自身が自問自答を行うだけではなく、できるだけさまざまな情報を多面的に収集して、自社の実態を掴んでいくことが、その後の戦略策定をスムーズに行う上で効果的です。