経営ハンドブック

中途採用

企業規模の大小を問わず中途採用実績は増加している

リクルートワークス研究所が毎年実施している「中途採用実態調査」によると、2018年度における中小企業(従業員数5-299人)1社当たりの中途採用実績は1.41人。しかし、300~999人の規模で11人以上の中途採用を実施しているなど、規模の大きい企業での中途採用が大きく増えている。その分、中小企業の中途採用の難易度が高くなっていると推測される。

中小企業は一般的に、ハローワークを通じた採用が一番多く、次いで「知人・友人(親族含む)の紹介」、「求人広告」が多いとされている。それぞれにポイントを見ていこう。

中小企業の中途採用のポイント

  1. 社員の友人・知人を採用する注目の「リファラル採用」
  2. 企業にある程度の規模と採用実績があるなら、求人媒体が効果を得やすい
  3. 採用コストを掛けたくない場合はハローワークが有利

ほかにも、人材紹介会社を利用する方法もある。登録者の中から条件に合う人材を紹介してくれて、連絡などの仲介も行ってくれる。採用された場合に料金を支払う成功報酬型が中心だが、金額は概ね高め。それを承知で質の高い人材が欲しい場合に向いている。

コストを掛けるか掛けないか、マッチングを重視するかしないか

1.社員の友人・知人を採用する注目の「リファラル採用」

「リファラル採用」は、自社社員から推薦を受けた人を採用する手法。日本では近年注目を集める手法だが、米国では大手・中小ともによく行われている。

リファラル採用のメリットは、まず、大幅なコスト削減が図れること。求人媒体や人材紹介サービスへの支払い、あるいは会社説明会の経費などがなくなるため、規模の大きい企業ほど効果が高くなる。また、自社社員が気脈の通じた友人に対し、業務内容や魅力、社風などを伝えるため、人と会社とのマッチングの精度が高まり、入社後の定着率向上も期待できる。

一方、デメリットとしては、推薦した人物が不採用となったときや、逆に紹介した社員がその後辞めてしまった場合に、推薦されて入社した社員のモチベーションが下がることがある。

導入にあたっては、自社の魅力や課題、人事・賃金制度、勤務実態などを整理しておくこと、そして嘘をつかないことが重要だ。リファラル採用は新卒者に対しても使えるが、自社の若手社員と同年代の第2新卒や既卒者を採用する場合に最も有効な手段と言えよう。

また、正確にはリファラル採用ではないが、SNSでの情報発信を通じて、既に自社や自社商品を知っていたり顧客になったりしている人向けに会社の雰囲気や採用情報を紹介して採用につなげている事例もある。会社や商品への愛着を持つ人を採用しやすく、広告のように出費を伴わないのが特徴だ。

2.企業にある程度の規模と採用実績があるなら、求人媒体が効果を得やすい

求人媒体には、インターネットの求人サイトに掲載するWeb媒体と、新聞や情報誌といった紙媒体がある。特に求人サイトは、常日頃からインターネットを通じた情報収集を行っている若い求職者にとっては、最もポピュラーな手段と言える。Web媒体は掲載できる情報量が多く、「職場の雰囲気や人間関係」や「口コミ」を載せられることも魅力の1つとなっている。ただし、ある程度の企業規模と安定した採用実績を持つ仲介業者を選ぶことが成功には必要だろう。費用は「4週間掲載で20万円以上」が相場となっている。

紙媒体については、駅やコンビニで無料の求人誌が置かれていることがあり、求職者に気軽に手に取ってもらえる。会社のある地元の人に知ってもらいやすい点も特徴だ。

3.採用コストを掛けたくない場合はハローワークを利用

ハローワークは求職者にとって最も身近な存在であり、会社にとっても費用が掛からないのが魅力だ。その一方で、掲載できる企業情報の書式が決まっており、求職者が限られた情報を参考にして応募するため、企業と求職者の相性にバラつきが出やすいとされている。また、職務に専門性を求める場合では、求める人材を得ることが難しく、比較的軽易な業務の担当者を募集する場合に向いている。

なお、ハローワーク活用では、トライアル雇用事業に申し込むこともできる。トライアル雇用事業とは、企業がハローワークから紹介された対象労働者を原則3カ月間、試行的に雇用した場合に、助成金(1人につき月額4万円を最長3カ月)を受けられる制度。企業は就業態度や能力などを確認したうえで正式雇用の有無を決定できるので、雇用のミスマッチが生じにくくなる。