経営ハンドブック

商品開発・市場開拓のための情報源

必ずリサーチをし、思いつきや思い込みで動かない

中小企業が新商品を開発したり新市場を開拓したりするときに、発想したアイデアが事業として成り立つかどうかを調べる作業が大切になってくる。提案者の思いつきや思い込みで商品開発や市場開拓を進めた結果、顧客の支持を得られずに撤退を余儀なくされるといった失敗をする中小企業も多い。

「面白いアイデアを着想した」と感じても、いったん立ち止まろう。ここでは、自分のアイデアが事業化できるかどうかを判断するための情報源について説明する。

商品開発・市場開拓に生かす情報を得るためのポイント

  1. 過去に同じようなアイデアがなかったかどうかを確認する
  2. 売り場視察やネット調査で、顧客の嗜好を知る
  3. 展示会や見本市で新しいネットワークを構築する

1.過去に同じようなアイデアがなかったかどうかを確認する

自分では「画期的だ」と思っても、同じようなことを考えている人はいるものだ。アイデアが浮かんだら、まずは、これまでに同じような商品やサービスがなかったのか、単に自分が知らなかっただけなのか、似たような商品やサービスがあったが市場に受け入れられなかったのかといった、過去の実態を確認しておこう。

こうした情報は、新聞や雑誌などの過去記事や市場動向調査会社の報告書などから入手できる。また、地方の会社はなかなか利用しにくいが、国立国会図書館に行けばほとんどのメディアを閲覧できる。

過去を学ぶことは、商品開発や市場開拓のヒントにもつながる。似たような商品やサービスが失敗した理由が分かれば、失敗した要因をなくすことで成功の確率は高まる。

2.売り場視察やネット調査で、顧客の嗜好を知る

アイデアが顧客に受け入れられるかどうかは、売り場の視察も有効だ。競合となりそうな商品やサービスを展開している現場に行けば、来店客が何を買っているのか、店舗が何を売ろうと力を入れているのかが分かる。今の売れ筋のヒントが、ここにはある。

売り場の視察では、顧客の動きや販促物にも注意を払う。来店客が、迷いなくカゴに入れているのか、商品を手に取って確認しているのか——。前者であれば、その消費者はその商品をいつも購入していると考えられる。後者であれば、ラベルのデザインを見ているのか、成分を確認しているのかなどもチェックし、どこに消費者が反応して購入を決めているのかを観察しておく。

販促物についても、自分たちが商品やサービスを投入した際に、どのように消費者へ訴求すればいいかのヒントになるはずだ。

また、あえて異業種の売り場を見てみるのもいいだろう。「こうした売り方を、自分の業界に持ち込んだらどうなるだろうか」という視点で考えることで、新たな発想につながる可能性が出てくる。

想定顧客の声も参考にしたい。すでに顧客を抱え込んでいるのであれば、「お試し会」のような形で実際に体験してもらう場を設けて、意見を集める。消費者目線を入れることで、企業では気づかなかった指摘が出てくるだろう。

新しい分野への進出を考えていて誰に尋ねていいのかが分からないのであれば、手軽に情報が得られるネット調査を利用してもいい。予算に合わせて、質問数やサンプル数を調整できるので、負担も少ない。

3.展示会や見本市で新しいネットワークを構築する

多くの企業が集まる展示会や見本市もヒントにあふれている。たくさんの人が集まっている出展者のブースは、話題になる何かがあるはずなので、その理由を探っておく。また、出展すれば、自分たちの商品やサービスの評価を来場者から直接、聞き出せる。

展示会をきっかけにヒット商品を生み出した一例が、お菓子用容器の印刷を手がけるA社(東京都)だ。紙でできたオリジナルのインテリア製品で、植木や花瓶、ワインボトルなどを包めば見る角度によって色彩が変化する。

もともとA社の社長はデザインに興味があった。足を運んだデザイナー作品の展示会で、隣の市で活動するデザイナーと出会う。これを機に交流するようになり、見る角度で色彩が変化するというアイデアが生まれ、商品開発に至った。

商品の誕生だけでなく、売り上げの拡大も展示会が貢献している。インテリア・ライフスタイル展にブースを出したところ、国内だけでなく、海外からも引き合いが入るようになった。