1.新市場創出の戦略策定
新市場創出に当たっては、まず、どのような市場にするかデザインする必要がある。もちろん、未だ市場創出されていないジャンルで、自社の新商品や強みが生かせる市場でなければならない。解決すべき社会課題を探り、達成すべき目的を特定する。ニュースなどの情報を集めて、社会全体を俯瞰したり、NPOやNGOの活動がヒントになることもあろう。
そして、新市場の名称も仮の物でもよいので設定する。 多くのステークホルダー(広く利害関係者を意味する。取引先、政府、経営者、従業員、顧客等)に対する求心力を醸成するために、新しいものであり、かつ、分かりやすい名称であることが求められる。
新市場のイメージが膨らんだら、次に、どのように市場を作るのかの戦略を考える。「戦略仮説策定」と呼ばれている。具体的には次の4点についての戦略だ。
(1) 新市場における「受益者」の洗い出し
新市場を創出した場合は、自社の既存の取引先だけでなく、他社へも影響を及ぼすことになる。直接取引先以外への影響もあろう。
例えば、新市場に投入する新商品を作るために、新しい部品が必要になったとする。自社の直接の取引先がその部品を製造するにしても、新たな原材料調達先を探す必要があるかもしれない。その様な場合、新たな調達先に選ばれた会社は受益者となろう。受益者となれば、新市場創出の協力者となってくれよう。
このように業界横断的に影響力をマップ化して、受益者を洗い出すということだ。
(2) ビジネスモデル構築
自社だけが利益を得られる新市場はありえず、外部にも利益があるからこそ、協力者が現れて、新市場が形成されるものである。新市場により利益を得られる人が多ければ多いほど、新市場形成は容易になる。そのため、自社利益のみならず他者利益も前提としたビジネスモデルの構築が必要とされる。
新商品の利用者はもちろんのこと、販売者や製造者など、利益が得られる可能性がある人を特定し協力を求める。中小企業の場合、資金力は大きくないので、利益が得られるまで時間がかかるようでは失敗する。できる限り早期に利益が得られるよう「スモールスタート」の発想も大切だ。
(3) 新市場創出の課題特定と解決策
新市場創出のためには、適切な需要と供給が必要となる。新商品でも需要がなければ意味がないし、供給困難なものであっても意味がない。どちらかに課題があれば、その解決策を探る。
また、新市場創出に当たって、既存のルールや業界慣習が障壁となることもある。こうしたものをどのようにして変革を促すかも課題となる。
(4) 市場「協創」相手の検討
新市場創出の旗手は、もちろん、新市場を考えた自社がなるのが一番良いが、力不足だと感じた場合は、新市場に共感してもらえる有力な他社になってもらうことも想定できよう。大手企業に共感してもらい協力を得られるのであれば、心強い味方となるだろう。
また、既存のルールや業界慣習を変革する必要がある場合は、障壁に対する影響力をもつ人とWin-Winの関係を築いて、協力者になってもらうことが必須と言えよう。
このように新市場のデザインと戦略仮説策定は、まず、新市場創出を目論む自社で行わなければならないが、こうした計画の策定は経験がない人がやっても絵に描いた餅になりがちだ。そこで、新市場創出サービスを活用し、より成功率の高い戦略を練ることが大切になる。
例えば、ビジネスモデルの考案や戦略仮説策定に苦慮しているなら、戦略コンサルティングファームの力を借りて、より精度の高い戦略を練り上げるとよいだろう。新市場創出で考慮すべき既存の取引先以外のステークホルダーを把握できない場合は、パブリックリレーションズ会社に、ステークホルダーマップを作成してもらったり、世論や消費者のニーズを整理してもらうことが考えられよう。