国がGX推進法やカーボンプライシング(CO2排出に価格をつけ、排出者の行動変容を促す政策手法)など制度面の整備を進めていること
欧州の炭素国境調整メカニズム(CBAM)など海外規制が広がり、日本企業にも影響していること
こうした動きを背景に、自社もGXに無関心ではいられない状況を認識することが出発点となります。
GXの具体的な取り組みについては、効果や難易度によって下表のように分類されます。自社の業種や規模に合った施策の全体像をつかむことが、次のアクションの基礎となります。
2.測る(見える化する)
続いて、見える化については、中小企業向けの簡易的なCO2排出量算定ツールが複数提供されています。これらのツールを活用することで、自社のCO2排出状況を把握し、削減効果の高い分野を特定できます。初期段階では完璧を求めず、大まかな傾向をつかむことから始めましょう。
3.減らす
排出量などの削減施策を実行するにあたって重要なのは、前述の「GXの取り組みの分類(参考)」のうち、比較的簡単に導入でき、効果がすぐに出るものから始め、徐々に長期的な取り組みに範囲を広げていく段階的なアプローチです。また、複数の対策を組み合わせることで相乗効果が得られ、より大きな削減効果を実現できます。
4.主な取り組み事例
以下に、日本全国の中小企業の具体的な取り組み事例を紹介します。
出典:「企業の脱炭素取組事例|関東経済産業局」から抜粋
出典:「2024年版 中小企業白書|中小企業庁」から抜粋
出典:「中小規模事業者向けの脱炭素経営導入 事例集|環境省」から抜粋
出典:「みんなで始めよう脱炭素|北海道庁」から抜粋
出典:「中小企業の脱炭素経営取組事例集|山口県庁」から抜粋
3.支援制度の種類と活用の進め方
GXへの取り組みでは初期費用がかかることもありますが、国や自治体、金融機関が提供する多様な支援制度を活用することで、その負担を軽減できます。制度にはそれぞれ対象や目的、補助率が定められており、自社の状況に合わせて適切なものを選択することが重要です。
支援制度の利用は段階的に進めると効率的です。以下の流れを意識しましょう。
(1)診断で改善余地と投資優先度を見極め、GX対策導入の計画を策定
(2)補助を活用して高効率設備に更新
(3)必要に応じて再エネ・電動化の補助を加える
(4)政府系の長期・低利融資で資金繰りを安定化
各段階の進め方や留意点、および具体的な支援制度を紹介します。
(1)診断・計画策定段階
最初の一歩は、自社のエネルギー使用状況やCO2排出量を正しく把握することです。専門家による診断を活用すれば、改善余地や投資の優先度を客観的に整理できます。また、この段階でGXの全体計画を立てておくと、その後の補助金申請や金融機関との相談がスムーズになります。診断結果は単なる現状把握にとどまらず、将来の設備更新や再エネ導入の根拠資料にも活用できます。
(2)設備導入支援
診断で優先度が明らかになった改善策については、補助金を活用して高効率設備への更新を進めると効果的です。公募期間が短い場合が多いため、情報収集を怠らず、早めに申請準備を整えることが大切です。さらに、補助金の対象経費や省エネ性能要件は詳細に定められているため、事前に専門家や執行団体へ確認しておくと、後のトラブルを避けられます。
(3)再生エネルギー導入支援
省エネ投資の次のステップとして、自家消費型太陽光や蓄電池といった再生可能エネルギー導入を検討すると、長期的なコスト削減と脱炭素効果が高まります。ただし、再エネは初期投資が大きく、導入後の維持管理だけでなく、電力の接続や出力に関する制約にも注意が必要です。補助金やPPA(電力購入契約)など多様な選択肢を比較検討し、自社の経営戦略や事業特性に合った形で取り入れることが重要です。
(4)資金繰り安定化支援
補助金は原則として後払いのため、採択されても当面の資金をどう工面するかが課題となります。ここで有効なのが、日本政策金融公庫や商工中金などによる長期・低利の融資制度です。投資計画に合わせて融資を組み合わせることで、キャッシュフローの乱れを防ぎ、GX投資を無理なく継続できます。また、金融機関によっては環境目標の達成度に応じた金利優遇などもあるため、資金面での支援と経営改善を同時に図ることが可能です。
これらの制度は年度や枠組みによって要件が変動するため、最新の公募要領を確認することが不可欠です。支援制度を賢く組み合わせれば、中小企業でも無理なくGXを進められ、環境対応と成長戦略を同時に実現できます。