2012年は、団塊世代(1947-49年生まれ)が初めて65歳になり定年退職を迎える年ということで、シニアビジネスに大変注目が集まりました。平成27年度の高齢社会白書によれば、2014年度の高齢化率(全人口に占める65歳以上の比率)は26%であるのに対して、2025年には30%、2060年には40%に達すると推計しています。
表1 高齢者数推移
このことは、あらゆる企業にとって「持続的な成長」を目指すためには、シニア市場への適切な取り組みが不可欠な要素であることを意味します。しかしながら、これからのシニア層の支持を獲得するためには、従来のマーケティング手法だけでは難しいかもしれません。
【シニア市場のニーズの多様化】
シニアビジネスが難しいという最大の理由は、シニアのニーズが非常に多様化しているために、全体を大きな塊として捉えることが困難であることです。その原因としてはシニアの消費動向が、各々の「保有資産」や「健康状態」「ライフステージ」などにより大きく影響を受けることに加え、新たな「価値観」をもつ団塊世代がシニア市場に登場したことで、より複雑化していることがあげられます。
一般に団塊世代の意識年齢は、実年齢よりも一回り若いといわれているように、従来のシニアには受け入れられた商品やサービスが、団塊世代のシニアには支持されないということが考えられます。
シニアビジネスで失敗する原因の一つとして、「シニア」というターゲットの特徴を、従来の思い込みで捉えてしまうことがあります。たとえばシニアに対する先入観として、「お金と時間に余裕がある」「社会的弱者で受け身の消費」というものがありますが、果たして本当にそうでしょうか。
確かに全体でみれば金融資産は圧倒的にシニア層が持っているのですが、実態は60歳以上の25%は金融資産がゼロであり、3000万円以上を保有する16%の富裕層が平均値を押し上げていることが分ります。また、60代の就労率は3割以上あり、また5割以上の方がインターネットで積極的に情報収集をしているというデータもあります。
【シニアビジネスの取り組み方】
このように一見すると非常に多様化・複雑化しているシニア市場ですが、当然のことながら大きなビジネスチャンスもあります。たとえば、シニア世代がもっとも不安に思っていることの一つには「身体の機能低下に伴う健康上の問題」があげられます。
このような問題に対しては、貴店のようなスポーツ用品店が率先して、ウォーキングやサイクリングを行うことによる「健康増進効果」を訴求することで、関連用品の購買意欲を高めることが出来ます。
また、貴店がハイキングやキャンプなどのイベントを企画開催することにより、シニアに家族や友人とのコミュニケーションの場を提供できるとともに、貴店との信頼関係を築くこともできるでしょう。
いずれにしても、シニアビジネスで成功するためには、以下の事業コンセプトを明確にする必要があります。
-
誰に…どんなライフステージで、どんな価値観を持ったシニア層を対象顧客とするか
-
何を…その顧客のどのようなニーズに、貴社のどの商品・サービスで対応するか
-
どのように…その顧客に対するきめ細やかな対応を、どのようにして実現していくか
そのうえで、お客様との親密な信頼関係に基づいた、息の長い取り組みをされることをお勧めします。