経営ハンドブック

サービス業での生産性向上

顧客接点に集中し、バックオフィスは効率化する

生産性向上には、2つのアプローチがある。まずは、提供するサービスの価値を増大(高収益化)させること、もう1つは、サービス提供までの時間や工程を短縮(コスト削減)し、効率を追求することだ。

サービス業では、人の仕事がダイレクトに価値の大小につながり収益を左右するため、従業員一人ひとりが生産性の良しあしを決めるといえる。生産性を向上させるためには、まず従業員一人ひとりのレベルアップを図る必要がある。そのために高い価値を提供できる優秀な人材を採用、あるいは育成して定着させていきたい。そのためには、人手不足が続くからこそ、相応の賃金、やりがいのある職場が必要になる。

つまり、サービス業において生産性を向上することは、高収益を実現し、自社の人材のレベルを上げ、さらに高い価値を生んでいくという強い会社づくりのための好循環を生み出す仕組みを作ることを意味している。

サービス業の生産性を向上させる際のポイント

  1. ブランド力のあるサービスを目指そう
  2. 「顧客体験」という価値を高めネットで知らしめる
  3. バックオフィスの効率化をサービス価値向上につなげる

1.ブランド力のあるサービスを目指そう

価値の高いサービスとは何か。かみ砕けば、独特の魅力があり、商圏も広く集客力があり、リピーターも絶えない、差異化に優れ、自ら設定した高い単価で提供することもできるサービスだ。一言で言い換えるとすれば、顧客に「ぜひ、あの会社のサービスを使いたい」と思わせるブランド力のあるサービスともいえる。ブランドの構築は中小企業にとってはハードルが高いものの、中小企業であっても、究極的に目指すべきはブランド構築である。

少しでもブランド力を高めるには、今や誰もが情報を発信できるネット時代にうまく乗る方策を検討したい。

2.「顧客体験」という価値を高めネットで知らしめる

大手ブランド企業のように、顧客に対して圧倒的なロイヤルティーを獲得できなくても、顧客に愛着、あるいは応援したい気持ちを持ってもらうことは可能だ。

顧客が求めているのは、そのサービスを利用したときの利便性に加えて、どのような経験をできるかという「顧客体験」だ。顧客がサービス購入のプロセスの中で受け止める、気持ちの良さ、共感、気軽さ、大切にしてもらっているという安堵感、触れ合い、といった価値だ。自社のサービスに、これらをどう組み込み、付加価値とするか検討する。

一方で、中小企業は、大手ブランド企業のように莫大な資金を投入し、力のあるメディアを活用して誰もが憧れるイメージを頻繁に発信していくことは難しい。しかしながら今は誰でもネットを利用できる。

ネット上では、ユーザーのウェブサイトの閲覧履歴データなどを分析し、直接、潜在顧客と想定できるユーザーに適切な情報を届けられるIT(情報技術)サービスなどが多数提供されている。こうした新たな情報発信技術は続々と開発されているので、自社でどのような活用ができるかも検討したい。例えば、SNS(交流サイト)では年齢や性別などで選別した利用者だけに広告を表示するなど、ピンポイントで効率的に情報を届けられるようになりつつある。

3.バックオフィスの効率化をサービス価値向上につなげる

サービス業においても、サービスの価値増大による生産性向上と合わせて、サービスの効率的な提供によっても生産性向上が可能だ。

製造業では、中小企業でも各製造工程をチェックし、ムダの排除といった改善がされるようになってきている。サービス業においても、サービスの提供プロセスを把握、分析すれば、作業や工程のムダ、業務が滞るボトルネックなどを発見、改善することができる。特にバックオフィスの効率化により、直接顧客に価値を届ける時間を十分に確保するといった方策でサービス価値向上につなげることもできる。

効率化の手法としては、製造業と同様、業務改善提案活動や業務のビデオ撮影による作業分析、5S 活動の導入などが考えられる。また、OCR(光学式文字読み取り装置)で手書き文字で書かれた文書をパソコンに取り込んで管理しやすくするなど、自動化によって効率化を図れる会社もあるだろう。