ITツール・アプリ紹介

手軽に導入できるスマートなiPad受付システム

来訪者が最初に目にする、いわば会社の顔とも言えるオフィスの受付。でも、人件費が大きく影響する中小企業の場合、立派な受付ロビーを作って、専属の受付スタッフを配置する、というのは難しいところがあります。しかしそれだけに、あまり気を配ることもできず、ともすれば飾り気のない、殺風景なスペースになってしまいがち。かといって企業規模に見合わない過剰な装飾を施すのは、かえって会社のイメージを損なってしまいかねません。

そこでおすすめなのが、クラウド型の受付システムを設置すること。受付周りの雰囲気がガラッと変わり、先進的なテクノロジーにも対応可能な、成長し続ける会社という印象を与えることもできるかもしれません。今回は大きなコストをかけずに使い始めることができ、スマートな受付を可能にするシステムを3種類、ご紹介します。

非接触での受付も可能な「RECEPTIONIST」

「RECEPTIONIST」は、iPadを利用したクラウド型受付システムです。来訪者が受付に設置されたiPadの画面から訪問先の担当者を選択することで、その担当者に対して来訪したことをビジネスチャット、メール、アプリ、着信音などを通じて知らせる仕組みになっています。設定や設置が簡単なため、すぐに利用を開始できます。

来訪者から訪問相手には、あらかじめ設定したチャットツールの特定のルーム(チャンネル)、あるいはチャットの担当者ID宛にメッセージが送られます。誰かが取り次ぐことによるタイムラグや伝え忘れが発生することはありません。Slack、Microsoft Teams、Chatwork、Google Chatなど、主要なビジネス向けチャットツールに対応します。

訪問者宛の事前通知メール。記載のコードを入力もしくはQRコードを受付でかざすだけでスムーズに担当者を呼び出せます

担当者側であらかじめ来訪者と予定日時を登録しておき、来訪者宛に「受付コード」を発行することもできます。この場合は「受付コード」を受付用iPadに入力してもらうことで、担当者を検索する手間なしにスムーズに受付処理できるようになります。また、受付コードをQRコードで発行することも可能です。スマートフォンなどに表示してiPadにかざすだけの非接触受付を実現できるため、感染症対策にもなるでしょう。

来訪履歴は自動で記録され、誰がいつ来社したのか後から確認することも可能です。セキュリティ意識が高い会社にとっても安心ではないでしょうか。

音声・ビデオでの応対、座席・会議室予約機能もある「WorkstyleOS(ACALL RECEPTON)」

ある程度規模の大きな企業に適した受付システムが「WorkstyleOS」です。こちらも受付に設置するのはiPad。来訪者がiPad上で担当者を検索、選択することで、担当者に通知されます。通知はメール送信が可能なほか、Slack、Chatworkなどのビジネス向けチャットツールに対しても送信可能。SMSや音声による通知、FaceTimeを使った音声・ビデオ通話にも対応できます。

担当者が来訪者と来訪予定日時を「アポイント」として登録しておくことで、当日、受付用iPadの操作でQRコード付きの入館証を発行する機能に加え、工事・清掃業者など定期的に出入りする関係者に対して「定期パス」を発行する機能も用意しています。

入館だけでなく退館もしっかり管理。QRコードで受付処理を簡単にすることもできます

来訪者の受付に留まらず、フリーアドレスの座席や会議室など、施設内スペースの管理・予約ができる仕組みを備えているのも特徴です。在宅勤務などテレワークの広がりでオフィスの有効活用を模索する企業が増えている昨今、従業員1人1人に決まった座席を用意せず、当日出社したときに使用する座席を決めてもらう、といった働き方を推奨している企業もあるはずです。そうしたワークスタイルにも対応しやすくなるうえ、空いている会議室を「貸し会議室」として、有料で社外の人に使ってもらうことも可能です。

契約プランは、IoT連携によるスマートオフィスの実現も可能な「Pro」と、自動ドア・セキュリティゲート連携なども対応できるスマートビル・シェアオフィス向けの「Unlimited」の2種類が用意されています。

受付端末の制限なし、受付後の誘導もスムーズな「ラクネコ」

フロアごとに受付がある、本社と工場が別の建物にある、などの理由で、受付用の端末を複数用意しなければならないケースもあるかもしれません。そういった企業でもコストを抑えながら使えるのが「ラクネコ」です。受付端末となるiPadは台数制限なく利用できるので、フロアごと、建物ごとに受付がある場合でも、問題なく対応できます(端末の購入またはレンタルは別料金)。

訪問者がiPadの画面上で担当者を選択し、通知する、というのは他のサービスと同様。Slack、Chatwork、Google Chatなどのビジネス向けチャットツールに対応し、従業員のもつスマートフォンへのSMS通知、他の同席者への通知も行えます。事前にGoogle カレンダーなどに来訪予定を登録するだけで受付用QRコードを発行し、当日iPadにかざして受付してもらえる仕組みや、来訪者自身の名刺をかざして受付する機能も用意しています。

受付完了後はオフィス内の待ち合わせ場所を画面上でわかりやすく指示でき、スマートロックのAkerunと連携したドア解錠の機能を組み合わせることもできます。これにより、来訪者が受付で迷うことがなくなるうえ、担当者がわざわざ受付まで迎えに行く必要もなくなり、スムーズにミーティングなどを始められます。利用料金は月額5,000円から。利用する従業員数に応じた料金体系のため、小規模な組織でも機能をフルに使えるのが魅力です。

3つのサービスの使いどころは?

今回ご紹介したサービスのうち1つ目の「RECEPTIONIST」は、国内におけるクラウド型受付システムの第一人者とも言えるサービス。完全非接触での受付も可能な、今の時代に必要十分な機能を備えたツールで、中小企業から大企業まで幅広くカバーしてくれそうです。

「WorkstyleOS」は、受付システムとして利用することもできますが、座席や会議室の予約機能もあり、オフィス全体の管理など、より大きな役目を果たしてくれるツールでもあります。その意味では、どちらかというと大企業向けのシステムと言えるかもしれません。そして3つ目の「ラクネコ」は、受付端末の数に制限がないため、受付箇所が複数存在する企業にとってはメリットの大きいシステムです。料金体系はシンプルで、部署単位、拠点単位での導入にも向いています。

どのサービスもiPadを利用しますが、受付システムに求められる性能は高くないため、必ずしも最新・高性能のiPadを用意する必要はありません。現在は比較的安価なモデルのiPadもあるため、それほど大きなコストをかけずに導入できるのではないでしょうか。