よくわかる食品衛生管理の基本とポイント

第1回 安全と安心

おいしさを語る前に食品は「安全」でなければなりません。安全とは食品をつくるための土台です。安全な食品を日々製造することで消費者から信頼を得られ、その信頼によって消費者にも安心感が生まれます。

「特別企画 食品衛生管理の基本とポイント」では、安全な食品製造に不可欠な衛生管理の基本とそのポイントをわかりやすく説明します。

安全は食品を製造する上での土台

人間は健康的に生きるために食べることで生活を営みます。食とは、生きるうえで最も基本的な問題です。安全でない食料が流通する社会は、人間の存在を根底から危うくします。毎日の食事に安全なものを望むことは当然といえます。毎日食べているものであっても、一度たりとも「あの食品は農薬に汚染されている」とメディアなどで報道されれば急に不安になってしまいます。逆に、安全な食品を毎日食べられることが「安心」へとつながります。安心とは安全に対する信頼感なのです。

「安全ばかり考えていたら利益がなくなってしまう」といった声をよく耳にします。食品製造業の中には、安全と生産性・利益を天秤にかけてしまうこともあるようですが、これでいいのでしょうか。そうではありません。安全は食品を製造する時の土台なのです。

安全という土台をしっかりすることによって、食品の持つおいしさや機能が発揮されるのです。この土台である安全はあまり大きくする必要はなく、しっかりさせておくことが重要です。生産量を拡大する時などは、安全を確保してから拡大することが肝要になるのです。

(高橋順一 コンサルティング・オフィス高橋 代表/中小企業診断士)