RoHS指令の基礎

韓国版RoHS-RoHS指令の基礎

2018年 10月 内容改訂

韓国版RoHS法の枠組み

韓国版RoHS法は、正式には「電気・電子製品および自動車の資源循環に関する法律」の略称で、2007年4月2日に国会で採択、4月27日に公布されました。この法律は、EUのWEEE指令、RoHS指令、ELV指令の3指令を統合したもので、電気・電子製品と自動車のリサイクルを促進し、資源を効率利用するための資源循環システムを構築することにより、環境の保全と国民経済の健全な発展に資することを目的としています。

その手段として、

  • 電気・電子製品と自動車の有害物質使用制限
  • 廃電気・電子製品と廃自動車のリサイクルシステムの構築

を要求しています。

公布後、附則を含めて2008/2/29、2009/2/6、2010/1/13、2010/2/4、2010/3/31、2010/7/23、2011/4/5、2011/7/21、2013/3/23、2013/7/16、2015/1/20、2016/12/27、2018/6/12に一部修正、追加、削除が行われています。最新の法文は2017年3月28日施行の以下のものであり、2019年6月13日施行予定の条文も含まれています。

事業者の責務

事業者の責務として以下の事項が法律に明記されています。

  1. 電気・電子製品や自動車を製造・輸入する者(「製造・輸入業者」)は、次の各号の措置をするなど、リサイクルを促進するために積極的に努力なければならない。
    1. リサイクル技術の開発
    2. 材質・構造を再利用がしやすいように改善
    3. 有害物質の使用抑制
    4. リサイクルがしやすいような製品を製造し、リサイクルが容易な製品を輸入する。
    5. 原材料や製品などが廃棄物になることを抑制し、廃棄物となる場合には、可能な限り回収してリサイクルする。
    6. 製造・輸入業者が出荷した製品の廃棄物をリサイクルするための回収システムを構築する。
  2. 電気・電子製品を販売する者は、廃電気・廃電子製品の回収に積極的に努力して、リサイクル可能な資源が効率的に循環されるようにしなければならない。
  3. リサイクル事業者は、リサイクルが可能な資源を最大限に再利用して、資源を節約し、リサイクル可能な資源が効率的に利用されるようにしなければならない。
  4. 廃電気・廃電子製品や廃自動車の環境汚染物質を処理する事業者(「処理業者」)は、環境への影響が最小限になるようにしなければならない。
  5. 製造・輸入業者、電気・電子製品を販売する者、リサイクル事業者と処理業者は、この法律の目的を達成するための国家および地方自治団体の措置に協力しなければならない。

電気・電子製品の適用対象製品

電流、電磁場で作動する機械、器具であって、コーポーネントとその部品を含み、次の49製品群が対象になります。

1

テレビ

26

携帯電話端末(電池・充電器含む)

2

冷蔵庫

27

自動販売機

3

洗濯機(家庭用に限る)

28

除湿器

4

エアコン

29

トースター

5

パソコン(モニター・キーボード含む)

30

電気ケトル

6

プリンタ

31

電気温水器

7

コピー機

32

電気フライパン

8

ファックス

33

ヘアドライヤー

9

電気浄水器

34

ランニングマシン

10

電気オーブン

35

監視カメラ

11

電子レンジ

36

食品乾燥機

12

生ごみ処理機

37

電気マッサージ器

13

食器洗浄・乾燥機

38

フットバス

14

温水便座

39

ミシン

15

空気清浄機

40

ゲーム機

16

電気ヒーター

41

ルータ

17

オーディオ機器(携帯用は除く)

42

スキャナ

18

電気炊飯器

43

製パン器

19

軟水器

44

ナビゲーション

20

加湿器

45

フライヤー

21

電気アイロン

46

プロジェクタ

22

扇風機(換気扇は除く)

47

コーヒーメーカー

23

ミキサー・ジューサー

48

湯沸かし器

24

掃除機

49

脱水機

25

ビデオ・DVDプレーヤー

自動車の適用対象製品

「自動車管理法」第3条第1項に定められている乗用自動車、定員9人以下の乗合自動車および軽・小型貨物自動車が対象です。コンポーネントとその部品を含みます。

使用制限される有害物質の種類と含有基準は、EU RoHS指令およびELV指令と同じです(表1)。ただし、研究・開発および輸出を目的とする場合には、有害物質含有基準は適用されません。また、EU RoHS、ELVと同じく、含有基準の除外項目があります。

表1 電気・電子製品および自動車の使用制限有害物質と含有基準

自動車

電気

物質

最大許容濃度

同一物質内の重量基準(wt)で0.1%未満

水銀

同一物質内の重量基準(wt)で0.1%未満

六価クロム

同一物質内の重量基準(wt)で0.1%未満

PBB

同一物質内の重量基準(wt)で0.1%未満

PBDE

同一物質内の重量基準(wt)で0.1%未満

DEHP

同一物質内の重量基準(wt)で0.1%未満

BBP

同一物質内の重量基準(wt)で0.1%未満

DBP

同一物質内の重量基準(wt)で0.1%未満

DIBP

同一物質内の重量基準(wt)で0.1%未満

カドミウム

同一物質内の重量基準(wt)で0.01%未満

同一物質:

同一物質とは、ねじをゆるめる、切断・圧搾・破砕・研磨するなど機械的な方法で分離されないプラスチック、セラミックス、ガラス、金属、合金、紙、合成樹脂、およびこのような物質をコーティングしたような単一形態の物質を言います。

施行日

2008年1月1日からリサイクルが施行されています。有害物質含有制限の適用は、2008年7月1日から発売される製品に適用されます。
2020年11月24日の改正で、対象となる電気電子機器を49製品群、特定有害物質にフタル酸エステル類の4物質が追加されました。

製造・輸入業者の遵守の公表、リサイクル情報の提供

製造・輸入業者は、有害物質の含有基準と年次別に定められるリサイクル可能率の遵守状況を、環境部で構築した「管理情報システム」に公表するか、自ら運営管理するホームページに掲示し、「管理情報システム」の運営機関の長に通知しなければなりません。

有害物質の含有基準や年次別リサイクル可能率の遵守状況公表は、電気・電子製品の製造者と自動車製造業者は出庫から3カ月以内に、電気・電子製品の輸入業者や自動車の輸入業者は輸入申告日から3カ月以内にする必要があります。

電気・電子製品の製造・輸入業者は製品のリサイクルを容易にするための材質・構造などに関する指針を守らなければなりません。環境長官からは電気・電子製品別に、年間のリサイクル義務率が定められ、これを守らなければなりません。

電気・電子製品の製造・輸入業者は、リサイクル事業者やリサイクル事業共済組合を設立するなどして、リサイクルの義務を履行することになります。自動車の製造・輸入業者も、自動車リサイクル業者、解体リサイクル業者などと連携してリサイクル率を守らなければなりません。

リサイクル事業者から、リサイクルに必要な情報提供の要求があった場合は、企業秘密を侵害しない範囲で情報を提供しなければなりません。

罰則規定

遵守の報告の義務に関して、虚偽の報告や関係監督機関の検査の拒否や妨害などをした者に対して、1年以下の懲役または1,000万ウォン以下の罰則があります。この罰則は、当事者だけでなく、その法人も罰せられます。

また、有害物質の含有基準を超えた製品を流通させた者に対しては、3,000万ウォン以下の罰金や、リサイクルに関する諸規定に違反した場合についても細かく罰金が決められています。

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。
情報提供:一般社団法人 東京環境経営研究所