データの公開と活用(オープンデータ)
老朽化した既存システムの再構築と共通基盤化による全体最適の実現
上記1.についての、経産省の取り組みの解説(https://www.meti.go.jp/policy/digital_transformation/article01.htmlより引用)
例として、2021年も公募が予定されているIT導入補助金は、申請手続きは押印不要のオンラインで完結させることができます。書類の郵送が不要となり、入力内容の自動チェック機能も搭載され、書類不備に関する工数が大きく削減されました。
他国の事例として、政府のデジタル化が進んだデンマークでは、オープンデータの活用などの効果により5年間で800億円もの経済効果が生まれたという事例もあります。
IT業界に属さない中小企業にとっては、これらの行政の変革はさほど興味をそそられないかもしれません。ですが、はんこレスの推進が印鑑業界に大きな影響を生じているように、行政のDXが自社の事業環境に波及する可能性は充分にあります。
他人事と思わず、ぜひ方向性を見定めて経営に活かすことを検討してみてください。
3. DXの推進に対して、中小企業や小規模事業者が検討すべき事項は
3.1 DXが中小企業・小規模事業者に及ぼす影響とは?
DXの推進は、新たな顧客体験価値を提供できるサービスによって、旧態依然としたビジネスの破壊的な変革が起こりうることが想定されます。すなわち、デジタル化が遅れている業種業態ほど、革新的なサービスの登場でビジネス環境が一変するリスクを抱えているとも考えられます。
例えば、ペーパーレスが進むと印刷・印鑑業界のみでなく、テレワークの促進を通して都心部を中心とする店舗事業にも影響を及ぼすでしょう。人との接触の削減要求は、リアルを前提とする多くのビジネスモデルでネット対応の必要性が生じています。
政府等のオープンデータ化の推進は、大量のデータを処理し判別するAIを活用するサービスに新たな可能性をもたらすと考えられます。例えば、経済産業省がオープンデータとして法人情報を公開する「gBizINFO(https://info.gbiz.go.jp/)」に代表されるように、様々なデータが公開され、AIが利用できるようになるでしょう。これらは、例えば不動産業界では重要な機能である与信調査などへの影響が考えられます。
他にも、不動産業界においてはAR・VR技術の進展が大きく影響を及ぼす可能性があると言えます。デジタル技術の進化が新たな顧客価値を生む事例となるでしょう。
3.2 中小企業や小規模事業者はどのようにDXに対処すべき?
資本体力も少なく、規模も大きくない企業が、DXによる変革に乗り遅れないための第一歩として、以下のポイントを押さえておきましょう。
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IT活用による業務改善や電子化を進めておく
DXの前提として社内のIT環境が整備されていることが重要です。着手しやすい業務改善から、まずは始めてみましょう。社員のITスキルを高めることも重要です。
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小額投資によるスモールスタートから始める
ビジネスモデルの変革への挑戦は、失敗がつきものです。PDCAサイクルを回すことを前提に、提供するサービスの価値を検証する仕組みを作りましょう。
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国内のみでなく、欧米の市場動向や環境変化に対する情報感度を高める
多くの場合、ITに関する先鋭的な取り組みはアメリカを中心とする欧米各国で始まり、遅れて日本での普及が始まります。国内の市場動向のみでなく、欧米各国に目を向けることで自社産業の未来をある程度推測することができるでしょう。
デジタル技術は急速に進化し、新たな製品やサービスが日々生まれています。中小企業や小規模事業者は、多くの場合デジタル技術の普及で生じる変革に対して受け身の立場になるでしょう。
そのような状況下においても、まずは変革に対応する準備としてITが活用できる体制を整え、情報感度を高めていきましょう。そして、自社のビジネスを取り囲む環境の変化についていち早く兆候を察知し、ライバルに先駆けた対応を実施することが大切です。
参考資料:
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中小企業診断士/E-SODAN「専門家とのチャット」 毎週火曜日:ITに関する相談担当
高仲 秀寿