流量や風量を計算により求めた後、現場での配管の修正や長期使用におけるポンプ等の能力低下に備える分の余裕。
モータは規格品であり、その定格出力は2.2kW、3.7kW、5.5kWというように段階的になっているので、やむを得ず余裕を持ったモータを使用してしまう場合が多い。
この③の余裕(ムダ)も、①や②の例に回転速度低減手法を適用することで解消されます。
5.ポンプ、送風機以外への適用について
これまでポンプと送風機について記してきましたが、モータを使用した機器は他にもあります。
そうした機器でもインバータにより回転速度を落として省エネができないか、という観点で見ると以下のようになります。
図3にモータの回転速度と負荷トルクの関係を大別したものを示します。
図3 負荷トルク-速度特性 4)
①低減トルク負荷
トルクが回転速度の2乗に比例する負荷。出力は回転速度の3乗に比例します。
本件で述べているポンプや送風機が該当します。
②定出力負荷
出力(仕事率)=トルク×回転速度=一定ですから、回転速度を落とすと、トルクが上がります。出力が一定のため、回転速度を落とす方法では省エネにはならない負荷です。
工作機械の主軸や一定張力、一定速度で製品を巻き取る巻取機が該当します。
③定トルク負荷
回転速度に関係なくトルクが一定の負荷。回転速度を下げればそれに比例して出力も下がり、時間当たりエネルギー消費量は減ります。しかし、ほとんどの場合、回転速度の低下に反比例して運転時間を延ばす必要があり、その場合は省エネとはなりません。
巻上げ機や圧延機、抄紙機、印刷機のロールの駆動はほぼ定トルク負荷で回転速度も厳密に管理されています。
また、ギアポンプ、ロータリーポンプ、ルーツブロアも定トルク負荷です。
以上から、回転速度を調整して省エネ効果を得られるのは①の低減トルク負荷であるポンプ(遠心式)や送風機が主であることがわかります。ただし、②や③でも、省エネを目的としなくとも、製品の品質管理等のための回転速度調整を目的としてインバータが多く使われています。
次回以降、ポンプと送風機それぞれの回転速度調整につき、具体例と注意点を見ていきます。
【参考文献】
1) 白石康裕、田上清隆、省エネルギー、2010、vol.62、no. 2、p. 27-30
2) 水口雄二朗、改訂 楽勝! 現場で使うインバータ、(財)省エネルギーセンター、2012、p.166
3) 水口雄二朗、楽勝!ポンプ設備の省エネ、(財)省エネルギーセンター、2010、p.133
4) (財)省エネルギーセンター編、新訂 エネルギー管理技術 電気管理編、(財)省エネルギーセンター、2002、p.735