7.日本企業の義務
日本の製造者に影響がある義務を前文の理念を参照しながらまとめてみます。
(1)環境配慮設計
前文第11文節で「廃電気電子機器の再使用、解体および再生を容易にする環境配慮設計(エコデザイン)事項をErP指令(ecodesign requirements for energy-related products 2009/125/EC)の措置の枠組みのなかで定める」とし、「製品設計を通して再使用、解体および再生使用について十分に考慮する」としています。
ErP指令では、特定の待機電力やAC電源などの省エネ基準があり、CEマーキング対象もあります。
特定製品以外のすべての製品は、環境に配慮した設計が第4条で要求されています。環境配慮設計は理念であり義務違反での取り締まりはないと思われますが、企業の社会的責任の一つとして、エコデザインを行い、設計検証を行い記録することが必要となります。
(2)生産者登録
WEEE(II)指令は廃電気電子機器の回収を要求しています。前文第23文節で「一般家庭からの廃電気電子機器の廃棄物チェーン全体を通して、廃電気電子機器の回収にかかる費用負担を生産者に負担をさせて、廃電気電子機器の回収に全責任を負わせる」としています。
第16条(登録、情報及び報告)により、生産者、輸入者等は加盟国に登録する義務があります。
WEEE(II)指令は、欧州連合運用条約第191条の環境政策の目的をために第192条(1)の手続きで制定されています。第191条の環境政策の目的には「EU連合の環境政策は、EU連合の各地域における事情の多様性を考慮しつつ高水準の保護を目指す」となっていますので、フランスはエコオーガニム、ドイツはDSD(Duales System Deutschland)の包装廃棄物回収システムなどの加盟国の運用は既存スキームの利用や運用がされますので、加盟国により異なります。
(3)危険物質の情報開示
第14条(使用者への情報)で、加盟国は「危険物質が存在することによる環境と人の健康に対する潜在的な影響」を取扱い説明書などで情報提供することが求めることができるとしています。また、第15条(処理施設に関する情報)で、「再使用のための準備を行うセンターや処理およびリサイクル施設によって必要とされる限りにおいて、さまざまな電気電子機器の構成部品、材料や電気電子機器内の危険物質および混合物の場所を特定しなければならない。これは生産者がマニュアルの形または電子媒体(例えばCD-ROM、オンラインサービス)の形式により再使用のために準備するセンター、処理およびリサイクル施設にとって利用可能な形で作成されなければならない。」としています。
第3条の用語の定義では、「有害廃棄物」「回収」「分別回収」「予防」「処理」「再生」「再使用のための準備」「再生利用」および「廃棄」については、指令2008/98/EC(廃棄物指令)の第3条に規定されている定義を適用する。」とされています。廃棄物指令の第3条では、「有害廃棄物」とは附属書IIIのリストにある1つ以上の有害性を示す廃棄物で、「「有毒」「極めて有毒」「有害」「腐食性」「刺激性」「発がん性」「催奇性」「変異原性」および「生態毒性」の属性は指令67/548/EEC(危険な物質の分類、包装、表示に関する指令)の附属書VIの基準に基づいて作成する」としています。
指令67/548/EECによる分類はCLP規則の発効により移行し、分類結果は表3に収載され、この分類・表示インベントリーはREACH規則の主管当局のECHA(The European Chemicals Agency)のWebで公開されています。
生産者は、電気電子機器の構成部品、材料や電気電子機器内の危険物質および混合物の場所を特定するために、分類?表示インベントリーに収載されている物質の含有調査を行う必要があります。含有危険物質により第14条、第15条の対応だけでなく、REACH規則の第33条によるCL物質に関する情報伝達の義務もでてきます。
(4)ナノマテリアル
危険物質はCLP規則により特定されますが、ナノマテリアルの扱いをWEEE(II)指令でも新たな視点で検討しています。前文第18文節で「電子回路中に固定的に埋込まれているナノマテリアルに対するばく露は、廃棄段階または再生利用段階で発生する可能性がある」とし、「ナノマテリアルを含んでいる廃電気電子機器の処理が人の健康と環境に与える恐れのあるリスクを管理するために、EU委員会が所定の処理の必要性を評価することが適切である。」としています。
ナノマテリアルはREACH規則でも取扱いが検討され、バイオサイド規則では表示の義務などを課していますので、電気電子機器にナノマテリアルを使用するには、十分に動向を確認しておくことが肝要です。