省エネQ&A

空調室内機フィルタや室外機フィンの定期的清掃による省エネについて教えてください。

回答

空調室内機フィルタは、大気中の汚染物を分離除去して、「きれいな空気」するために取り付けられています。フィルタがつまると、熱交換量が低下します。空調室内外機のフィンコイルについては薬品洗浄を2~3年に1回、また、室内機のフィルタについては毎月1回程度、清掃することで5~10%の削減が期待できます。

空調室内機フィルタは、大気中の汚染物を分離除去して、「きれいな空気」にするために取り付けられています。

フィルタに空気が通過するとき、空気の流れが妨げられ抵抗(=圧力損失)が生じます。フィルタに汚染物が多量につまると、圧力損失が上昇します。圧力損失の上昇は、汚染物の除去効率が低下するとともに、熱交換器を通る風量が減り、Q1261でご説明のとおり熱交換量が低下します。したがって、室内用途に応じた定期的なフィルタ清掃を確実に実施する必要があります。

下図は、フィルタの定期的清掃を行った場合と行わないまま運転した場合の消費電力のシミュレーションの一例です(出典:日本冷凍空調工業会:業務用エアコンを長く安心してお使いいただくために)。下図のような汚染が激しい環境下では、フィルタを清掃しないと1.5倍も多く電力を消費することもあります。

ノーメンテナンスによる消費電力の増加 ノーメンテナンスによる消費電力の増加

また、室外機のフィン(下写真:出典は東北電力の室外機の熱交換器フィン洗浄)は熱交換器の一部を構成しています。

フィンの表面が汚れると表面熱伝達率が低下します。室外機フィンが汚れたまま運転を継続すると、空調機の運転効率が低下し、電力消費量が増加します。室外機フィンを洗浄した直後では消費電力量が15%も削減したとの報告もあります(出典: 空気調和衛生工学便覧)。

エアコン室外機の裏側の空気吸い込みフィン エアコン室外機の裏側の空気吸い込みフィン

以上の纏めと提案です。

  • 空調室内外機のフィンコイル及び室内機のフィルタ清掃で5~10%の削減が期待できます。
  • 空調室内機フィルタは汚れ具合にもよりますが、毎月1回程度の清掃をお勧めします。
  • 空調室内外機のフィンコイルを薬品洗浄して空調機の効率低下を防止します。洗浄頻度はフィンコイルの汚れ具合によりますが、通常は2~3年に1回の実施が適当です。薬品を使用するため、専門業者への点検と洗浄委託をお勧めします。
  • 室内機のフィンコイルは室外機ほど汚れませんが、室外機のフィンコイル清掃時に点検し、汚れていたら清掃を実施しましょう。
  • 清掃した日を管理表に記録しましょう。
回答

技術士(衛生工学) 加治 均