市場調査データ

美容院(2013年版)

美容院は、女性の高い利用率と安定した需要、そして開業が比較的容易であることから新規参入が多く、それだけに競争の激しい業界であると言える。以下では、美容院についての消費者の利用状況や利用意向を、アンケート調査を元に探っていく。

1. 現在の利用状況

現在の利用状況を見ると、「よく利用している」と「たまに利用している」を合わせた「利用率」は、全体で61%、男性が19%、女性が93%となっており、圧倒的に女性の利用率が高い(表1、図1)。年代・性別で見ると、50代を除く全ての年代で女性の利用率は90%を超えており、とくに20代女性の利用率(97%)が極めて高い。男性も女性ほどではないが、若い世代で利用率が高く、20代男性では46%となっている。

表1 現在の利用状況

表1 現在の利用状況

(注:小数点未満を四捨五入しているため、表中の数値の合計は必ずしも合計該当欄の値に一致しない。)

図1 現在の利用状況

図1 現在の利用状況

女性利用経験者では約7割~8割が2~3カ月に1回以上美容院を利用している(図2)。20代・30代男性利用経験者も7割程度が2~3カ月に1回以上美容院を利用している。

女性利用経験者では、月に1回以上利用するヘビーユーザーは、年代が高いほど多く、50代女性利用経験者の30%、60代女性利用経験者の34%が該当している。

図2 利用頻度(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

図2 利用頻度(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

1回あたり利用金額のボリュームゾーンは、全体で3000~5000円未満の範囲と考えられる(図3)。利用経験者全体の23%が3000~5000円未満の範囲内で利用し、44%が2500~7000円未満の範囲内で利用している。

1回あたり利用金額が比較的多いのは20代女性と30代女性であり、20代女性利用経験者の54%が1回に5000円以上を使い、26%が1回に1万円以上を使っている。また、30代女性利用経験者の53%が1回に5000円以上を使い、23%が1回に1万円以上を使っている。

図3 1回あたりの利用金額(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

図3 1回あたりの利用金額(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

2. 今後の利用意向

「ぜひ利用したい」と「まあ利用したい(どちらかといえば利用したい)」を合わせた比率(積極的利用意向)は、全ての年代の女性で70%を超えており、とくに40代女性(84%)で高い(表2、図4)。男性の積極的利用意向は女性に比べると低いが、若い世代ほど高く、20代男性では28%となっている。

美容院の利用に否定的な意向を持たない人の比率(消極的利用意向を持つ人の比率)は、全ての年代の女性で90%を超え、男性においても20代~40代で60%を超えている。

表2 今後の利用意向

表2 今後の利用意向

(注:小数点未満を四捨五入しているため、表中の数値の合計は必ずしも合計該当欄の値に一致しない。)

図4 今後の利用意向

図4 今後の利用意向

積極的潜在需要(積極的利用意向-利用率)は、女性では既に高い利用率を背景に、そして男性では低い積極的利用意向を背景に、総じてゼロまたはマイナスとなっている(図5)。

美容院の利用に否定的な意向を持たない層をも加味した潜在需要(消極的潜在需要)は、20代~40代男性とくに30代・40代男性で大きい。

現在の需要を維持しつつ、美容院の利用に中立的な男性(とくに30代・40代男性)の関心をいかに喚起し、具体的なニーズに結び付けていくかが、今後の成功の鍵と言える。

図5 潜在需要

図5 潜在需要

※総務省統計局「家計調査(総世帯調査)」によると、家計1世帯が美容院(パーマネント、カット)にかける年間支出金額平均は、2009年で10,938円、2012年で10,402円となっており、減少している。本レポートのアンケート調査は2009年に行われたものであるが、現在の利用率等も若干下がっているとも考えられる。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものです。個別の施策等を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

調査概要

調査期間:

2008年6月25日~7月9日

調査対象:

株式会社ベンチャー・リンク 消費者モニター組織「コンシューマー・アイズ」のモニター会員、全国20代~60代男女(有効回答数:1192人)

調査方法:

インターネットによるアンケート調査

最終内容確認日2013年9月

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