市場調査データ

自動販売機(飲料)(2012年版)

自動販売機(飲料)は、30代~50代男性を中心に高い利用率とリピート率で、幅広く市場に浸透している小売媒体である。また、若年層と高齢者層には未だ潜在需要も眠っている。以下では、自動販売機(飲料)についての消費者の利用状況や利用意向を、アンケート調査結果を元に探っていく。

1. 現在の利用状況

現在の利用状況を見ると、「よく利用している」と「たまに利用している」を合わせた「利用率」は、全体で81%、男性83%、女性79%であり、男女ともに利用率は極めて高い(表1、図1)。

年代別・性別に見ると、利用率が最も高いのは40代男性(89%)であり、次いで、30代男性(88%)、50代男性(85%)などの順となっている。「よく利用している」の比率は、男性(34%)の方が女性(14%)よりも圧倒的に高い。同比率は、男性では30代~50代を中心に高く、女性では若い年代ほど高くなっている。

また、「利用経験あるが、現在利用していない」の割合が利用率に比べて小さいことから、リピート率も高いと考えられる。

表1 現在の利用状況

表1 現在の利用状況

(注:小数点未満を四捨五入しているため、表中の数値の合計は必ずしも合計該当欄の値に一致しない。)

図1 現在の利用状況

図1 現在の利用状況

利用頻度は、女性よりも男性、そして若い年代を中心に高いといえる(図2)。

男性利用経験者のうち、「週に1回」以上利用するユーザーは、20代で65%、30代で60%、40代で58%、50代で49%などとなっている。とくに20代~40代男性の利用経験者においては、「ほぼ毎日」利用しているというユーザーが2割近く存在している。一方、女性利用経験者のうち、「週に1回」以上利用するユーザーは、20代で32%、30代・40代で28%、50代で19%などとなっている。

図2 利用頻度(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

図2 利用頻度(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

1回あたり利用金額は、300円未満がほとんどである(図3)。

また、わずかではあるが300円から1,000円未満の範囲内でまとめ買いをするユーザーも存在している。

図3 1回あたりの利用金額(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

図3 1回あたりの利用金額(「利用したことがない」「不明」回答者を除く)

2. 今後の利用意向

今後「ぜひ利用したい」と「まあ利用したい(どちらかといえば利用したい)」を合わせた比率(積極的利用意向)は、全体で69%、男性73%、女性66%であり、とくに男性の利用意向が高い(表2、図4)。

自動販売機(飲料)の利用に否定的な意向を持たない人の比率(消極的利用意向を持つ人の比率)は、全ての年代・性別で80%を超えており、極めて高いといえる。

表2 今後の利用意向

表2 今後の利用意向

(注:小数点未満を四捨五入しているため、表中の数値の合計は必ずしも合計該当欄の値に一致しない。)

図4 今後の利用意向

図4 今後の利用意向

積極的利用意向から実際の利用率を除いた潜在需要(積極的潜在需要)は、既に高い利用率を背景に、全ての年代・性別でマイナスとなっている(図5)。

自動販売機(飲料)の利用に否定的な意向を持たない層を加味した潜在需要(消極的潜在需要)は、20代男性や20代・30代女性、そして60代男女などに存在しているといえる。

高い利用率を背景に、市場はすでに飽和状態に近い状態にあるが、20代男性や20代・30代女性、60代男女などには、未だ潜在需要が眠っていると考えられる。利用率・リピート率の高い30代~50代男性を今後も狙いつつも、若年層や高年齢層の関心を喚起してさらなる需要を開拓していくことも可能である。オフィス街、学校や繁華街はもちろんであるが、今後は、高齢者の集まる集会所や施設なども潜在需要の開拓次第では自動販売機の有望な設置場所になってくるだろう。

図5 潜在需要

図5 潜在需要

※総務省統計局「家計調査(総世帯調査)」によると、家計1世帯が飲料にかける年間支出金額平均は、2008年に42,833円だったものが2012年には44,989円にまで増加してきている。本レポートのアンケート調査は2012年に行われたものであるが、傾向として利用率等は若干上がってきているとも考えられる。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものです。個別の施策等を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

調査概要

調査期間:

2012年6月2日~6月29日

調査対象:

国内在住の20~60代男女(有効回答数:1,084人)

調査方法:

インターネットによるアンケート調査

最終内容確認日2013年9月

関連記事